AOKIや通販サイトが参入、オーダースーツ市場に活気
佐田社長によると、SADAにとって追い風になったのは、同業他社などが続々とオーダースーツへ参入したことだという。総務省の家計調査によると、1991年には2万5000円を超えていた1世帯あたりのスーツ関連の年間支出額は2016年には6959円にまで縮小。ビジネスシーンのカジュアル化などによるとみられるが、業界各社は事業の多角化を図る一方、好調なSADAを見てか、オーダースーツに取り組みはじめた。
紳士服最大手の「AOKI」は16年に東京・銀座本店でオーダースーツのショップを試験導入。そこでノウハウを培い、好感触を得て18年10月にオーダースーツのサービスを全570店舗に拡大することを発表した。
佐田社長はAOKIのこの動きが自社のオーダースーツにも好影響があったとみている。
オーダースーツのうねりの高まりはこれにとどまらず18年7月には、人気ファッション通販サイトの運営会社が独自ブランドで、鳴り物入りでサービスをスタート。ところがこちらはネットなどでの評価がいいとはいえず、佐田社長によると、「SADA」がその受け皿の役割を果たしたと思われるような客足の伸びがあった。
「オーダースーツは、2年ほど前からブーム期になっていると思う。SADAの仕立ては、ほかにはできないもの。そのことをアピールして紳士服業界大手を追いあげたいと」と、佐田社長はさらなる成長を期している。
2018年末、佐田社長は株式会社佐田での社長業を中心に振り返った「迷ったら茨の道を行け」(ダイヤモンド社)を、初の自著として上梓した。
小説やテレビドラマで描かれたようなシーンがしばしば登場するが、現実にあった中小企業の再生劇には、まさに「事実は小説より奇なり」を実感できる一冊。
「迷ったら茨の道を行け ~ 紳士服業界に旋風を巻き起こすオーダースーツSADAの挑戦」
佐田展隆 著
ダイヤモンド社
1500円(税別)