下手にパンクを自分で修理すると高くつくことに
じつは、特に応急修理キットの使い方は難しい。応急修理キットは、タイヤの中に修理剤を投入して補修するものだが、1本のタイヤに2か所以上の損傷があると修理できない場合が多い。また、キットに付属する修理剤には有効期限がある。こうしたことを知っているかどうかを聞くと、7~8割以上が知らなかった。
応急修理キットがクルマに装備されていることを知っている人でも、購入時に使い方の説明を受けた人は27%だけだから、無理もない。
国民生活センターが各メーカーの応急修理キットを実験すると、大きな傷は修理できなかった。また、補修後のタイヤとホイールの間に充てんした修理剤が付着し、ディーラーでさらに修理する際に、よけいに作業費用がかかるケースもあった。すべてのパンク穴を発見できなくなり、結局、新品のタイヤに交換する必要がある場合もあった。
これらが、【事例1】の「メーカーが付属の備品としてクルマに付けているものなのに、それを使用するとパンク修理ができないのは納得がいかない」というケースだ。
こうしたことから、国民生活センターでは、こうアドバイスしている。
「まず、自分のクルマにどんなパンク対策の備品が備わっているかを把握して、取扱説明書をよく読み、その使い方を知りましょう。特に、応急修理キットは一時的な応急用であり、パンクを完全に補修するものではありません。一度使用すると、タイヤ自体の交換が必要となる可能性があります。状況に応じてロードサービスを活用することも勧めます」
(福田和郎)