「虚勢」はいりません!
多くの成功体験を積み重ねてきたリーダーにとって、部下に対して「知らない」、「わからない」と自らの知識不足や経験不足を公言すれば、信頼を失うのではないかという不安もあり二の足を踏むかもしれません。
しかしながらカルマン氏は、「部下は上司の『弱み』の開示を通じて、経営者や上司のことを「リーダー」という役割だけではなく一人の人間として見ることにつながり、共に仕事をする『共創』の喜びが生まれる可能性が広がる」のだと言うのです。
まさしく先の社長が話してくれた子供時代の経験も、会社における「弱み見せ指示」も、リーダーとの間に思ってもいなかった『共創』の場が生まれたことが、社員のモチベーションに火をつけたと言えそうです。
確かに部下から見て、致命的な「弱み」をさらけ出すような「情けない」経営者では困りますが、不要な虚勢を張ることが経営者のあるべき姿ではないこともまた事実です。
部下の能力をより引き出すために、時には正直に自らの致命的ではない「弱み」をさらけ出す勇気を持つことも、経営者たるもの必要であると感じさせられるエピソードではないでしょうか。
部下育成、モチベーション向上のヒントにしていただければ、と思う次第です。(大関暁夫)