官は「同一労働同一賃金」の手本となれ
では、どうあるべきか。カギは(どこまで安倍総理が理解できているかは不明だが)政権がすでに掲げている「同一労働同一賃金」にある。
その本質は、正社員と非正規雇用労働者の格差是正ではなく、担当する業務内容に応じて賃金を決定する賃金制度への移行にある。格差の是正はあくまで、その結果にすぎないのだ。
この理念を体現するなら、60歳以降の公務員の賃金は、民間の同じ業務の賃金水準を参考にしつつ、個別に人事課が判断することがふさわしいのではないか。
3割になる人間もいれば、そのまま持ち上がりという人もいるのが、ごく自然な流れだろう。高齢者の能力はそれほどに個人差の大きいものだからだ。
それが民間にも波及するようなら、それこそ本当の意味での「お手本」と言っていいだろう。(城繁幸)