株式投資をするとき、どのように株価チャートを確認しているだろうか――。パソコンで確認するか、近年はスマートフォン用の株式投資アプリで確認する人も少なくないだろう。
ところで、現代のようにPCやスマホが普及していなかった時代の投資家は、どのような手段で株価の推移を確認していたのか?
世界恐慌で巨額の富を築いた伝説のトレーダー、ジェシー・リバモア(1877~1940年)や、当時の貨幣価値としては巨額の200万ドルを稼いだ兼業投資家(本業はペアダンサー)のニコラス・ダーバス(1920~1977年)の自伝からは、当時は株価の推移を手書きで記録して売買の判断材料としていたことがわかっている。
「一粒で二度おいしい」銘柄がある
株価を手書きでチャートに書き写すことは一見面倒な作業だが、その中で気付いたことも数多くあったと、彼らは自伝に記している。
彼らにならい、筆者も手書きではないものの、エクセルを使って過去の株価の時系列データをもとにチャートを作成してみた。
今回、チャートを作成したのは2016年の株価上昇ランキング上位3銘柄。チャートの期間は、2015年1月から2017年12月まで(ただし、株価上昇率3位の「T-BASE」は2015年9月の上場のため、チャート期間は2016年1月から2017年12月まで)。
※株式投資メモの時系列データを使用。青字は出来高。株価は分割調整済み価格。
今回、チャートを作成したのは、2016年に著しい株価上昇がみられた銘柄だが、注目してほしいのは、その後(2017年)の価格推移だ。
つまり、2016年末に上昇していたことが知られている株を、翌年も適切な時期に買っていたなら、あわよくば「一粒(一銘柄)で二度おいしい」思いができたかもしれない。
2016年の株価上昇率の上位3銘柄は、2017年にも株価上昇が確認されている。株式投資に「絶対」はないが、どうやら、一度めざましい株価上昇をみせた銘柄は、最初の急上昇が終わってから株価が横ばいとなる「調整期間」に入ったのち、二度目の上昇の段階に入る可能性がそれなりに高いことが知られているようだ。
株は「二段波動」で上がる
世界最大の政府系ファンドであるアブダビ投資庁のファンドマネージャーとして投資運用を一任されていた、林則行氏の著作である「株の絶対法則」(ダイヤモンド社刊)によれば、「株は二段波動で上がる」という経験則があるようだ。
林則行氏の説明によると「二段波動」とは、
「二段波動とは、株価が動いていく際に、二つの同じような大きさの双子の波動をつくり、二つ目が完了すると、天井をつけて大きく下げる」
というもの。
林氏の手法は「ビッグ・チェンジ銘柄」を買う、いわゆる「成長株投資」である。年間の株価上昇率ランキング上位にランクインするような銘柄は、最初の値上がり幅と同じくらいの株価上昇が再びやってくる可能性があるという、株価推移のサイクルに関する経験則が知られている。
筆者の所感としては、大きく株価が上昇するのは、
(1)売り上げまたは利益が大幅に上昇している。
(2)赤字だったが、直近の決算で黒字となった。
のいずれかを満たす株が多いが、過去の「ビッグ・チェンジ銘柄」は(1)のパターンが多いように思われる。
一時のブームで話題になっているのではなく、業績という数字で示されるような堅実な成長をしている会社が、長期的に着実に株価を伸ばしていくのだろう。もしかすると、2018年に値上がり率上位だった株を適切なタイミングで買えば、2019年もその銘柄でおいしい思いをすることができるかもしれない。
ただ、林氏の説明にもあるように、二つ目の上昇波動が完了すると、天井をつけて大きく下げることが経験的に知られている。したがって、適切なタイミングで利食いすることが重要となるだろう。
「ビッグ・チェンジ銘柄」は、値上がりする前は名前も知られていなかったような、小型株がほとんどだ。「小型株効果」という用語にもあるように、一般的に小型株は値上がりする可能性が高い。
一方、大企業と比較すると資本や経営が不安定なため、大きく値下がりするリスクもある。実際にこういった銘柄に投資するには、利益確定のための戦略だけでなく、判断が間違っていた際の「損切り」の戦略を考えておくことも大事だ。(ブラックスワン)