「下町ロケット」はブラック企業か?!(後編)専門家に聞くと「法律的にはアウトの可能性があるが...」

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ヤクザ映画の法律違反は問題にしないのになぜ「下町ロケット」を

   ――そういえば、私の知人が「日本人はヤクザ映画が大好きだ。しかし、誰もヤクザ映画を見て、主人公は法律違反だなどとヤボなことは言わない。それなのになぜ『下町ロケット』の法律違反を問題にするの?」と言っていました。

大人気だった「下町ロケット」(TBSの番組ホームページから
大人気だった「下町ロケット」(TBSの番組ホームページから
岩田さん「それは素晴らしい視点ですね。任侠映画の法律違反が問題にならず、『下町ロケット』の法律違反が問題になるのはなぜか。それは、任侠映画は荒唐無稽のフィクションだとわかっているけど、『下町ロケット』は非常にリアリティーがあり、こんな企業が現実にありそうだとみんなが思うからではないでしょうか。それだけドラマとして優れているということです。

法律の実務者の私が言うのもおかしいですが、法律が必ずしも現実に合わない場合もあります。たとえば、労働基準法は戦前の工場法を元にして作成されており、工場労働者に合わせて作られた面があります。今では二次産業(製造業)より三次産業(サービス業)に従事している人のほうが圧倒的に多く、労働基準法の考え方は現在の労働環境に合っていません。時代に合っていない法律を杓子定規に守ることが労働者の幸せにつながるかどうか疑問です。

もちろん、法律を破っても良いという話ではありません。現実と法律の折り合いをつけていくことが求められています。我々社労士は、杓子定規で考える役所とは違います。少なくとも私は、いかに法律を守りながらクライアントの仕事が円滑に行われるかをいつも考えながら仕事をしています。

   ――すると、どういう働き方が幸せにつながるのでしょうか。

岩田さん「イソップ寓話で『レンガ職人の話』があります。何を作っているのか? と問われたレンガ職人が、1人目は「(作業として)レンガを積んでいる」
と答え、2人目は「(稼ぐために)壁を作っている」と答え、3人目が「(使命として)後世に残る町の聖堂を作っている」と答えるというものです。
このレンガ職人のうち、誰が幸せに働けているかは明白です。どうせ仕事するなら、やりがいを持って働きたいものです。だから佃製作所のような会社が悪であるとは一概には言えないと思います。
そもそも、ブラックかブラックではないかという問いは、『ブラック企業』という言葉をどう定義をするかによっても結論が変わってきます。ブラックかブラックじゃないかの二元論で考えるより、はるかに大切なのは、会社も従業員も幸せであることです。法律を持ち出して権利を主張するよりも、労使ともに幸せになれる方法をみんなで一緒に模索していきませんか」

(福田和郎)

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