東京地検特捜部の「落ち度」
一方で、東京地検特捜部の捜査にもいくつかの落ち度があるように思える。そもそも「入口」の金融商品取引法(金商法)違反は、日産のトップが逮捕される容疑としてはあまりにも筋違いだ。
そのうえ、勾留期限が来ると今度は直近3年分について同じ容疑で再逮捕している。さらに、2018年12月20日に東京地裁が勾留延長の却下と準抗告を棄却すると、東京地検特捜部は翌21日にゴーン容疑者を特別背任容疑で逮捕している。
前出の司法関係者はこの点に、「特別背任容疑で逮捕できたのであれば、なぜ最初は金商法違反で逮捕したのか。逮捕そのものが無理筋だったのではないか」との疑問がある。半面、「特別背任容疑で逮捕する方針があったうえで、金商法違反での逮捕というプロセスを辿っただけ」との見方もある。
ただ、報酬についての有価証券報告書の過少記載について、1つの期間ではなく、わざわざ2つの期間に分けて逮捕、再逮捕をしている点や、最初から特別背任容疑で逮捕をせず、金商法違反容疑での勾留期限が来たことで、特別背任容疑で逮捕した点については、違和感を持たざるを得ない。