「組織の私物化」に突き進んだゴーンCEOに欠けていたものはなにか!?(大関暁夫)

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「ゴーン迷走」の分岐点

   では、いつの段階から、ゴーン氏の「リーダーシップ」と「フォロワーシップ」のバランスは崩れ始めたのでしょうか――。2005年、ゴーン氏は日産着任時に退任したフランスのルノーでCEOに就任。日産自動車CEOと兼務するようになります。今回の逮捕をめぐる一連の新聞報道によれば、この2社のCEO兼務を境に、日産自動車では現場と疎遠になっていったとされています。欠かさず目を通してきていたという毎月実施される社員の声調査にも、まったく見向きもしなくなっていったというのです。

   ゴーン氏の「リーダーシップ」先行、「フォロワーシップ」後退の傾向は、2社のCEO兼務を境に、明確に現れているのです。それが徐々に進行を続けることで、ゴーン氏は躊躇なく組織の私物化に突き進む、独裁的リーダーへと姿を変えてしまったのだろうと思えるのです。

   私の経験から言わせていただければ、組織の大小を問わず周囲の手に負えないワンマン経営者は、現場から疎遠になり「フォロワーシップ」が失われた「リーダーシップ」先行状態になることで生まれてくるように思います。

   そして、もしそんな状況に経営者自身が気付く瞬間があったら、それは紛れもなく自らが突きつけた引退勧告であると受け取る必要があるのではないかとも思うのです。

   自らの引退という、リーダーから組織に向けられた最後の「フォロワーシップ」すら、遅れてしまうようであれば、組織は徐々に崩壊に向かうことになるということも、私が目の当たりにしてきた厳然たる事実なのです。

(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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