「組織の私物化」に突き進んだゴーンCEOに欠けていたものはなにか!?(大関暁夫)

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ゴーン氏が「日産の人間」だった「リバイバルプラン」

   原稿では、昨年(2018年)スバルやKYBや日立化成で相次いだ不祥事について、各組織のリーダーの「フォロワーシップ」が本当に足りていたか、という問題提起がなされていました。

   原稿が書かれたのが恐らくゴーン氏逮捕よりも前のことであったのでしょう。ゴーン氏について原稿が言及することはありませんでしたが、私は個人的にゴーン氏もまたリーダーとしての「リーダーシップ」と「フォロワーシップ」のバランスが崩れていたに違いないと思いました。

   ゴーン氏の来日は1999年。当時、財政面から経営危機に立たされていた日産自動車にルノーからCOO(最高執行責任者。後にCEO)として乗り込み、リーダーとしてその再建に大ナタをふるい業績をV字回復させ、日本の企業経営史にその名を刻む名経営者とまで謳われました。

   ゴーン氏が先頭に立って指揮を執った「日産リバイバルプラン」は、大幅なコスト削減を軸とした構造改革による再建策であったがゆえに、ゴーン氏は一般に「コストカッター」の代表格のように言われることが多いのです。

   しかし、改革進行の裏には大ナタをふるう決断力、実行力に支えられた「リーダーシップ」とともに、「日産の人間として」くまなく現場を回って現場の声に耳を傾けつつ、「社員のコーチ役」とまで自ら公言してはばからないほどの「フォロワーシップ」を発揮していたのです。

   「リーダーシップ」と「フォロワーシップ」の見事なバランスがあって、ゴーン氏は日産自動車V字復活の立役者たるリーダー足り得たのだと言っていいでしょう。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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