楽観論の日経、悲観論の朝日、リベラル路線の中日・毎日
日本経済新聞(1月4日付)は「平成の次へ 新たなジャパン・モデルの構築を」で、盛りだくさんの提案をしている。
「ひとつ目は、リスクマネーの供給だ。官民ファンド改革を期待された産業革新投資機構のつまずきは残念だが、余剰資金の豊富な大企業の役割も大きい。最近は、KDDIのような大企業が相次いで社内にベンチャーキャピタルをつくっている。大企業が新技術やビジネスの芽に投資すれば、次世代を担う企業の誕生を後押しできる。新興企業が台頭すれば、それが刺激になり、既存の大企業も活性化するだろう。
もう1つは硬直した規制の見直しだ。たとえば米国では自家用車で乗客を送迎するライドシェアが日常の足として定着しているが、日本ではタクシー業界の反対で今も原則は禁止だ。運転に不安な高齢者が多く、公共交通も行き届かない日本の過疎地でこそライドシェアは威力を発揮するはずだ。政府はあらゆる課題をデジタル化で解決するという『ソサエティー5.0』を掲げるが、それにはビジネスの障害を取り除き、新規参入を容易にすることが重要だ」
一方、こうした政界・経済界にハッパをかける日本経済新聞の明るい論調とは対照的に、朝日新聞(1月4日付)は「成長戦略は限界」と悲観論に満ちているように見える。
「日本経済の位置も変わった。購買力換算の1人当たりGDP(国内総生産)をみれば、米国やドイツとの差が縮まらない一方で、台湾に抜かれ韓国がほぼ同水準に迫る。もはやアジアで抜きんでて豊かな国ではない。バブル崩壊後の景気停滞とデフレは一段落させることができた。だが、企業の高収益の一方で『品質不正』が相次ぎ、経済の基礎体力をあらわす潜在成長率も大きくは上がっていない。
現政権はさまざまな『成長戦略』を掲げてきた。最新版は『ソサエティー5.0』だ。一つの未来図ではあるだろう。ただ、新産業の創出や生産性の向上は、市場の競争のなかで個々の企業が達成するのが基本だ。一国での計画経済が成り立つかのように、過剰な期待を寄せても空回りしかねない」
また、中日新聞と毎日新聞は(ともに1月1日付)は、それぞれ「神話崩壊 廃炉の時代」(脱原発の推進)、「AIと民主主義」(AIの恐ろしさ)と、最先端技術を批判的にみる論調を張っている。