脱グライダー人間のススメ再び...... 「思考」の後に整理したのは「お金」【気になる本の散歩道】

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!
『お金の整理学』(外山滋比古著)小学館

   著者の外山滋比古さんは自前のエンジンで飛行を続け、95歳となってなお意気軒高。1983年の刊行以来「ベストセラー」の一角を占める『思考の整理学』で、「脱グライダー型人間」を推奨。自力で飛べる飛行機型人間になれ、という訴えにはいまも多くの人が共感を寄せる。

   このほど上梓した『お金の整理学』(小学館刊)では、高齢化が進む現代でこそ中高年は、社会保障依存のグライダー型をやめ、老後の資金を自ら賄う飛行機型を心がけることが大切だと説いている。

  • 「知の巨人」がお金を考えたら……
    「知の巨人」がお金を考えたら……
  • 「知の巨人」がお金を考えたら……

65年に及ぶ株式投資歴

   「お金の話」となると、なにやら卑しい印象がつきまとい、明るく、大きな声で話すことがはばかられる。外山さんはそうした慣習を、「断ち切るべき偏見」とバッサリ。「もっと前向きに『老後のお金』の話をしよう」と呼びかける。

   「知の巨人」ともいわれる外山さん。英文学者、言語学者として知られ、教育論やジャーナリズム論など幅広い分野での評論活動や、示唆に富んだエッセイでもおなじみだ。

   そのキャリアからはお金の話とは縁がないようなイメージだが、30歳のころから株式投資を始め、なお現役。加えてインフレ対策がない生命保険は投資価値なしと、タッチしないなどのポリシーを投資とシンクロさせ、そうした独自のファイナンシャルプランが創造的な仕事の支えになってきたという。

   本書には、65年に及ぶ投資歴の中で学んだことが、ふんだんに盛り込まれている。

「株式投資=悪」の決めつけに危機感

   株式投資については2010年、87歳のときに書いた『「人生二毛作」のすすめ』ですでに長くかかわっていることを明かし、その効能について述べている。本書は副題が「脳をいつまでも生き生きとさせる生活」で、テーマがストレートにお金に結びつかなかったため、それほど注目されなかった。

   ところが18年夏に発売された週刊誌のインタビューで、老後の資金戦略の一つとして投資が有効であることを滔々と述べ、少なからざる反響があったという。

   本書はそれらに対するアンサー的な意味も込めて書かれたもの。だが、その反響というのが、投資に対する否定的なものばかりで「株式投資=悪」と決めつけている人が多かった。そのことに危機感を募らせたからなのだ。

   「週刊誌のインタビューは私の周りでは大変、不評だったが、この際、あえて、高齢者が『株投資』をやってみることの意味について、書いておきたい」と立ち上がったのだ。

姉妹サイト