ご当地の人も不快 貼ったり、はがしたりの「いたちごっこ」
それはそれとして、この種の話は桂林のこのアパートに限ったことではない。これまで、中国各地のアパートなどの「壁」で同じようなものを見てきた。
翻って、日本の私たちの郵便受けには毎日のように、いろんな業者のチラシ広告が投げ込まれている。ほとんどは読まれることもなく、すぐにゴミ箱行きで、随分と無駄な話である。
そういえば、最近はすっかりお目にかかることがなくなったが、昭和の時代にはよく電信柱にペタペタと貼られたビラのような広告を見た。それでも、さすがに建物の中に無雑作に貼られた広告はあまりなかったように思う。
とはいえ、日本に比べると、当地のアパートの壁に貼られたチラシ広告は、薄汚いながらも、まだ広告の役目を果たしている。量の面からも、資源の負担が少ないかもしれない。
年賀で会った知人にそう話を向けてみると、「私たちもこうした広告は不快なんです。冗談を言わないでください」と怒られてしまった。住人たちのそうした意向も受けて、団地の掃除係の女性が黒く書かれた電話番号を消したり、チラシ広告をはがしたりしているそうだ。知人も手伝ったことがあるという。
だが、消しても、はがしても、すぐに新しいものが現れ、なかなか追いつかない。それに、チラシ広告は壁にノリでべったりと貼られているので、完全にははがしづらい。それが壁をよけいに薄汚くしている。また業者のほうも、簡単にははがされないよう、写真の右上にあるように、天井近くにチラシ広告を貼ったりする。「いたちごっこ」が続いている。(岩城元)