シューカツに使える企業分析バトルの3回目は、株価収益率(PER)による割安感をあまり考慮せず、自己資本利益率(ROE)と経常利益変化率、過去3年の売上高変化率をもとにスクリーニングした。
そして、候補銘柄のうちキャッチーなテレビCMでおなじみの「MonotaRo」(モノタロウ)に目がとまり、どのような事業を行い、今後どのような成長プランをもっているのかを調べつつ、今後の株価推移を検討してみた。
工場用間接資材、取り扱いアイテムはなんと約30万点
【MonotaRo(3064)】
2018年12月28日 保有株数 100株
取得単価 2550円(12月25日取得)
年初来高値 3370円
年初来安値 1618円
2018年12月28日終値 2550円
MonotaRoは2000年に設立された、事業者向けの工場用間接資材の通信販売を手掛ける会社。親会社は米国最大手の工業用間接資材流通業者の「Grainger International,Inc.」。また子会社に、「NAVIMRO Co.,Ltd」「PT MONOTARO INDONESIA」「ZORO Shanghai Co, Ltd.」をもち、海外展開も進めている。
主な事業は、インターネットを利用した間接資材の通信販売。利便性を一つの武器に、多くの商品が即日出荷されて翌日には届く仕組みになっているため、「この資材が足りない」「この道具が足りない」という現場の声にすぐ対応できるようになっている。
取扱商品数の拡充にも積極的な取り組んでおり、その数は2017年時点で約30万点を誇っている。現場の需要をしっかりと受けとめることができる体制が整っているといえる。
また、取引先の多くが中小企業であることも強みの一つと考えられる。大企業が主な取引先である場合、値段などの交渉の場面で多少の譲歩が必要となる可能性がある。しかし、相手先が中小企業の場合は、MonotaRo側が交渉に強く出ることができるだろう。
ただ、事業関係において心配な要素が二つある。一つ目は海外市場での苦戦である。MonotaRoは現在、韓国や中国、インドネシアにおいて日本国内と同様のサービスを展開しているが、今のところ目立った業績があげられていない。さらなる成長のために、海外市場を獲得することは必要不可欠であり、ここでの躓くは株価に影響がでる可能性もある。
親会社である「Grainger International,Inc.」のノウハウも生かしながら、この難所を乗り切れるかがポイントとなりそうだ。
驚異的! ROE42.2% 目立つ財務体質のよさ
二つ目の不安要素は、Amazonの脅威である。「Amazon Business」という新たなAmazonのB to Bサービスは、MonotaRoとかなり競合する事業であると考えている。
Face to Faceの事業形態でないMonotaRoは、他の工業用間接資材を販売する企業に比べて、顧客との信頼関係や「なじみ」が多少薄いかもしれない。Amazonがその巨大さを生かして、より安く、品揃えもよい競合相手として参入してきた場合、顧客の流出は免れないのではないかと考えている。
一方、今回のスクリーニングに当てはまるように、MonotaRoは安定して利益を伸ばしている。
下表を見ればわかるように、売上高、営業利益は2014年度と比較して2倍に上昇した。また、17年度12月期のROEは42.2%と、驚異的な数字となっており、資本効率のよさを示している。
自己資本比率も同じく2017年12月期に53.8%と優良な値を記録しており、MonotaRoの財務体制の強さがうかがえる。
株価は、2018年12月25日終値の時点で2550円。上場以来、安定して上昇している。PERは63.06倍となっており割高なように感じられるが、現在の安定した売り上げ状況と今後のさらなる商品数の増加、海外展開の成功の期待を考慮すれば、買い推奨であると考えている。 ただ、現在は軽いボックス相場に入っており、上場来高値の3370円付近で跳ね返される値動きが続いている。また現在はMonotaRoに限らず、市場全体が株安の方向に動いているため、このトレンドを突破できるかどうかが、一つのポイントになってくると考えられる。 豊富な商品数と迅速な配達を強みに、着実に成長を続けているMonotaRoは、海外市場での今後の展開や競合他社の脅威に注意を払いつつ、長期的に見れば「買い」銘柄と見た。 12月25日、終値と同じ2550円で100株を購入した。
【企業分析バトル 通信簿】
取得単価 現在の株価 値上がり(値下り)額
(保有株数) (2018/12/28終値) (1株当たり)
イボキン(5699) 取得せず 1484円 プラス・マイナスゼロ
クスリのアオキHD 8170円 6930円 ▲1240円
(3549)(100株、18/12/25)
【株式取引ルール】
・月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
・投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
・1年間のトータルで損益を競います。