【世界経済を占う】変調するトランプ相場、落日の世界経済?(小田切尚登)

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中国経済は停滞ぎみ 世界経済はピークを越えた

   その一方で、中国経済が停滞ぎみになってきたことは重要である。

   中国内の生産や消費が伸び悩んでいるところに、米国との貿易戦争の影響が加わり、大変厳しい状況だ。中国とて、米国を中心とする世界との貿易に大きく依存している。世界の影響を強く受けるし、逆に中国の経済が世界に大きく影響するという双方向の関係にある。

   欧州は米国以上に苦しい。欧州経済が米中を中心とする世界の不安定な情勢に翻弄されている面もあるが、一方でイタリアの経済状況と、英国のEU離脱問題(BREXIT)の二つは、欧州内部で抱える問題の根深さを象徴している。

   新興国市場は、2017年は好調だったが、2018年はトルコとアルゼンチンなど混乱が続いた。新大統領誕生に沸くブラジルを除き、大半の新興国で株価が大きく下落した。

   株式市場以外では、商品が下がってきた。原油は中東情勢の混乱で一時上昇する気配を見せたが、結局は大きく下がった。需要が停滞したためだ。一方で銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛といった金属も大きく下がった。(小田切尚登)

小田切 尚登(おだぎり・なおと)
小田切 尚登(おだぎり・なおと)
経済アナリスト
東京大学法学部卒業。バンク・オブ・アメリカ、BNPパリバなど大手外資系金融機関4社で勤務した後に独立。現在、明治大学大学院兼任講師(担当は金融論とコミュニケーション)。ハーン銀行(モンゴル)独立取締役。経済誌に定期的に寄稿するほか、CNBCやBloombergTVなどの海外メディアへの出演も多数。音楽スペースのシンフォニー・サロン(門前仲町)を主宰し、ピアニストとしても活躍する。1957年生まれ。
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