「雇用したくない」ワケは「受入体制が整っていない」から
企業に外国人労働者の在留資格の拡大について聞いたところ、拡大「賛成」が7410社で全体の76.3%を占めた。「反対」は2307社(23.7%)だった。
外国人労働者の雇用状況別でみると、「雇用を検討している」企業で、「賛成」が1051社(91.2%)で最多。すでに外国人を「雇用している企業」でも「賛成」が2451社(87.6%)となった。
一方、「反対」の理由について、「治安が悪化すると思われるため」と答えた企業が1345社(構成比58.7%)で最多だった。次いで、「行政のサポート体制が不十分」が1105社(48.2%)、「移民受け入れにつながるため」が975社(42.6%)と続く。
さらに、企業に「在留資格が拡大した場合、外国人労働者を雇用したいか」聞いたところ、「雇用したい」と回答した企業は5335社(構成比で55.3%)だった=別図参照。
業種別でみると、「雇用したい」は金融・保険業、不動産業が約4割にとどまり、他の業種に比べて低かった。拡充される単純労働者の雇用需要は、現状はまだ企業に浸透していないことがうかがえるほか、人手の充足別でみると「雇用したい」企業は、人手不足で4173社(62.0%)と6割を超えた。
また現在の雇用状況別でみると、「雇用している」企業では「雇用したい」が8割超と前向きな姿勢がみられた。
その一方で、「雇用したくない」と答えた企業も、4307社(44.7%)あった。その企業から「雇用したくない」理由を聞くと、トップは「社内の受入体制が整っていない」で、2499社(構成比で58.4%)で最多。次いで、「任せられる職務がない・少ない」が2043社(47.8%)、「文化の違い」が1763社(41.2%)だった。住宅の確保や行政の支援なども浮かび上がっている。
実際に外国人労働者を「雇用している」と回答した企業でも、「日本人と同等以上の賃金保障が難しい」との回答が1割を超えた。
外国人労働者の雇用で懸念することでは、「日本語能力」や「手続き(在留資格・社会保障など)の煩雑さ」も上位を占めた。企業側では、日本語はもちろん、日本の生活習慣や常識、モラルなど、日常生活に向けての研修に時間を費やしている企業もみられた。
外国人労働者の受け入れには、業務内容とは別に、こうした日常生活のサポートや互いの文化を尊重するサポートも必要になってくる。