「高品質」を売りモノに、消費者からの信頼を勝ち取ってきた日本企業が、どうもおかしい。
2017年~18年にかけて、東芝や神戸製鋼、日産自動車、宇部興産、SUBARU、スズキ、三菱マテリアル、日立化成...... 誰もが知っている有名企業が、品質不正に手を染めていた。続々と表面化した品質不正だが、果たして「膿」は出し切ったのだろうか――。
「自浄能力なし」ガバナンスが原因か?
過去の不祥事にフタをして決算をごまかしていた光学機器メーカーのオリンパスや「チャレンジ」の大号令の下で不正会計に手を染めた東芝、国土交通省に提出する排気ガス・燃費データを改ざんした日産自動車やSUBARUと、ここ数年、企業の不正が後を絶たない。
2018年には、スルガ銀行の書類改ざんによる不適切融資が明るみに出たほか、SUBARUでは新たなデータ改ざんが見つかった。こうした企業の不正の背景に、J-CASTニュース会社ウォッチで「社長のお悩み相談 ~オレの話を聞いてくれ~」を執筆している企業アナリストの大関暁夫氏は、「過度な業績追及が蔓延しています」と指摘する。
年功序列が廃止され、成果主義が当たり前になったサラリーマンが、「至上命令」に追い込まれ、「多少のことに目を瞑っても、なりふり構わず稼がなくては自分の地位が危ない」という状況に陥った。そんな流れが、「収益追求型」の不祥事につながったとみている。
2018年は、「一時の食品偽装のように、企業が膿を出し切ってしまおうと動く年」と話していた大関氏。2月にはポリエチレン製品の検査データの虚偽記載で宇部興産が発覚したが、問題はSUBARUや日産自動車のように、次から次へと不正が発覚したこと。自浄能力が疑われ、「底なし」の事態となった。
SUBARUは2018年4月に排気ガス・燃費データの改ざんで調査報告書を提出したにもかかわらず、6月に排気ガス・燃費データで新たな不正が発覚。9月にはブレーキなどの安全性能の検査で不正が見つかった。
日産自動車は2018年7月に排気ガス・燃費データの改ざんが、12月にはブレーキなどの安全性能の検査での不正が発覚した。同社は、前会長のカルロス・ゴーン氏が特別背任容疑で逮捕されたことや、西川(さいかわ)広人社長が検査不正の記者会見に姿を見せなかったことでもわかるように、ガバナンス(企業統治)そのものに問題があるのかもしれない。