2018年は1ドル100~123円レンジとみていた
さて、ペンス演説を前提にすると、今後の為替相場はどうなるのでしょうか――。
自戒の意味も込めて、2018年、私がどのような相場観を持っていたのか。そして、それがどうなったのか、そこから振り返って考えてみたいと思います。
まず、2018年の今ごろ、私はドル高円安の相場観を持っていました。トランプ減税が実現し、2018年の米国は高成長を享受することが目に見えていました。米国の金利が上昇することも、米ドルの上昇をサポートすると考えました。
トランプ政権2年目は、貿易問題が俎上にのぼるとの警告も一部シニアのトレーダーから指摘されていましたが、2017年12月時点では、それがどの程度大きなインパクトを持ち、2018年相場に影響を及ぼすかは、正直よくわからないところでした。
おそらく、好調な米国経済を背景にまず円安方向を試し、120円超えもあり得ると考えました。しかし、金利差から見ると円安は十分あり得る話なのですが、通貨の持つ購買力を考えると、110円台でも十分すぎるほど円は割安でした。
日銀が発表する実質実効為替レートでみて、現状の円のレベルは1985年のプラザ合意前の弱さまで来ています。よって、120円を大きく超える円安は難しく、最終的に購買力平価で見たドル円の適正レートである1ドル85~90円方向への動きに戻るだろうと。すなわち、最初は円安で123円、後半は揺り戻しの円高で、100円近くまで戻すこともあるのではないかと現在考えていました。
つまり、1ドル100~123円レンジ、コア105~120円と見ていました。