テレビ朝日系の報道番組「報道ステーション」で、日本人の可処分所得が大きく減少している問題が取り上げられ、SNS上でちょっとした話題となっている。
それでもって「アベノミクスは失敗だ!」と大喜びしている野党関係者も散見される。庶民が実際に使えるお金は大幅減。アベノミクスを6年もやった「成果」がこれか。
本当にアベノミクスのせいで庶民の生活は苦しくなったのだろうか。いい機会なのでまとめておこう。
勤労世帯の生活が苦しくなったのは社会保険料のせい
結論から言うと、庶民の生活に余裕がなくなったのは、賃金が微増にとどまるなか、過去20年以上ほぼ一貫して社会保険料の天引きが増え続けてきたためだ。
事業主負担分も含めたサラリーマンの社会保険料負担は、すでに45%に達する。
サラリーマンが目先のベアより社会保障の抜本改革を要求すべき理由 (Joe's Labo 2014年4月17日付)
「労使折半だから半分は会社が払ってくれてるんじゃないの?」と、思う人もいるかもしれないが、会社から見ればすべて含めて人件費である。
たとえば、あなたがお掃除代行サービスを1万円で頼んでいて、突然1万円の「お掃除代行税」が発生したとして「しようがないなあ、ポケットマネーからもう1万円出すか」とはならないだろう。お掃除代行サービスに2万円分の働きを求めるはずだ。
そうそう、参院選前に政府は財界に「教育無償化のためのコスト」として3000億円の負担も要求した。あれも恐らく今年(2018年)の昇給を削って捻出されているはずだ。
まとめると、高齢者やニートも含めた社会全体で負担できる消費税を上げる代わりに、保険料という形でサラリーマンだけが負担を押し付けられていることになる。
ちなみに、筆者自身はアベノミクスをまったく評価していないし、むしろ大失敗だったとみている。本当の評価は、近い将来下されることになるはずだ。
とはいえ、世の中の悪いことすべてを政府の政策に押し付けようとする向きには同調する気はない。