河野太郎外相は2018年12月11日の記者会見で、記者団からの質問にはまったく答えず、「次の質問どうぞ」を3度、繰り返した。怒った記者団からの「なんで『次の質問どうぞ』と言うのか」との問いにも、「次の質問どうぞ」と言うだけだった。「お答えできない」とすら言わなかった。
記者団の質問は日ロ平和条約交渉についてのもので、答えにくかったのだろう。だが、それにしても前代未聞、傲岸不遜(ごうがんふそん)、説明責任を放棄した、あるいは「選良」とはとても思えない、ひどすぎる対応だった。
尊大な態度は燦然と輝くバッジのせい
河野外相は数日も経ってから、やっと謝罪したが、どうして平然とあんな尊大な態度を取れたのか。それは、僕に言わせれば、燦然(さんぜん)と胸に輝く、あの「議員バッジ」の影響が大きいのではないだろうか。
かつて野党の国会議員を長く務めた80歳代の旧知の女性に、そう尋ねてみた。答えは「そりゃ、そうですよ、あなたの言う通りよ。あのバッジをいったん胸につけるとね、周りがいっせいに平身低頭してくれるの。自分が突然、偉くなったような気になるのよ。河野太郎? もう少し賢い男かと思っていたのだけど......」。
テレビでニュース関連の討論番組を見ていると、国会議員が話し手としてよく出てくる。衆議院議員と参議院議員とでは、バッジの色などがやや違うけれど、みんな申し合わせたように、胸につけている。
国会議員がメディアに出る時には、バッジをつけるようにとの申し合わせでもあるのだろうか?
いや、そんな話は聞いたことがない。あのバッジは、そもそもは国会に入る際に、本当に議員かどうかを確かめるために作られたものだそうだ。都道府県議会や市町村議会の議員も、形や色は微妙に違うけど、みんなが胸につけているみたいだ。