「大迫 半端ない!」からゴーンの「腹心」まで 平成最後の「ニュースな英語」をランキング(井津川倫子)

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   平成最後の年の瀬となってしまいました。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOの「告白」で始まった2018年。「想定外」のQUEENブームで幕を閉じようとしていますが、たくさんの「英語」がニュースを彩りました。

   連載で取り上げたニュースの中から、2018年を象徴する英単語をランキングでお届け。果たして、ナンバー1の輝く「2018年のニュースな英語」は?

  • サッカーW杯、日本は大健闘だった(画像はイメージ)
    サッカーW杯、日本は大健闘だった(画像はイメージ)
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今年は猛暑も、大迫も、「hampanai」

   筆者が独断と偏見で勝手に選んだ「2018年のニュースな英語」ランキング。

   まずは、世界中を襲った「異常気象」を表す英単語から。

   2018年夏、日本は東京都内で観測史上初めて40度を超えるなど、記録的な猛暑に襲われました。この記録的な暑さ、じつは日本だけではなくカナダやヨーロッパでも観測された世界的な現象で、毎日のようにこの英単語がヘッドライン(見出し)に踊りました。

   第8位 heatwave:猛暑、熱波

   「暑い夏」は気象だけではありません。

   ロシアで行われたサッカーワールドカップ(W杯)では、数々の名勝負が繰り広げられ、ニューヒーローが誕生しました。大迫勇也選手を称える「大迫、半端ない!」が流行語になりましたが、なんと、この「大迫、半端ない!」が、 英国の高級紙「ガーディアン」でも紹介されていました!

   awesome:驚くばかり、「半端ない」

   「半端ない」「awesome」(驚くばかり)「incredible」(信じられない)と訳されるようですが、残念ながら「半端ない」のインパクトが伝わらない気がします。

   せっかくですから、「hampanai」が「karaoke」(カラオケ)や「emoji」(絵文字)のように国際語になることを願って、第7位にはこの単語をランキングしました。

   第7位 hampanai:半端ない

   W杯では、日本(世界ランキング61位)が初戦でコロンビア(同16位)と対戦。2-1で快勝して世界を驚かせました。

   第6位 upset:動揺させる(動詞)、番狂わせ(名詞)

   国際政治ニュースでは、米国のトランプ大統領が良くも悪くも「主役」でした。歴史的な米朝首脳会談を行うなど、従来の常識を超えた行動が話題となりましたが、自国経済を保護する名目で輸入品の関税を引き上げた時には、世界中の首脳が反発の声明を発表。

   なんと、身内である共和党幹部でさえ「考え直せ!」と大統領に迫ったと報じられました。

   第5位 reconsider:考え直す

   歴史的な南北首脳会談の後、米国のトランプ大統領や中国の習近平総書記、ロシアのプーチン大統領までをも巻き込んだ国際交渉が動く中で、残念ながら日本が交渉の場から取り残されていると報道されました。「外交の安倍」を揶揄するかのように、「蚊帳の外」が流行語になりました。「『蚊帳の外』を英語では何というのかな?」と調べてみたら、意外な発見がありました。

   第4位out of the loop:蚊帳の外

   「loop」は「輪」という英語です。英語では、「蚊帳の外」は「輪の外」と言うのですね。こんな新しい発見があるたびに、英語っておもしろいなってつくづく思います。

第1位はやっぱり、あの会社の経営トップの言葉に!

   さて、いよいよトップ3です。

   エンターテイメントの世界では、日本は「蚊帳の外」どころかあるブームを引っ張っています。伝説のロックバンドQUEENのボーカル、故フレディ・マーキュリーの生涯を描いた映画「ボヘミアン・ラプソディ」が、世界中で大ヒットとなっています。

   年末になって突然発生した、「異常事態」と称されるほどの盛り上がりぶりですが、観客が一緒に歌って踊る「応援上映」が、ヒットの一因だと報道されていました。この「応援上映」、日本を含むアジアで特に盛り上がっているそうです。

   第3位 Sing-along screening(応援上映)

   経済界では、日産自動車の元会長カルロス・ゴーン容疑者の、突然の逮捕劇が衝撃的でした。高額の報酬や想像を超えた贅沢な生活に世間の注目が集まっていますが、個人的には「黒幕」として逮捕されたグレッグ・ケリー被告が気になって仕方ありません。

   ゴーン容疑者の「腹心の友」は、いったいどんな人物なのか。そういえば、日本でも「腹心の友」が話題になりましたね。

   第2位confidant:腹心の友、親友

   ゴーン容疑者とは趣が異なりますが、フェイスブックの創設者マーク・ザッカーバーグ氏にとっても2018年は苦難の年でした。大規模な個人情報の流出により、アカウントを削除する動きが加速。ビジネス面でも甚大な影響を受けたとされています。

   そのザッカーバーグ氏は、毎年ユニークな「新年の抱負」を公表することで知られています。世界で5番目に裕福な億万長者がどんな抱負を語るのか。新年早々に自身のフェイスブック上で公表されるやいなや、その内容をめぐって「解釈」や「憶測」が瞬く間に世界中を駆け抜けるほどです。

   皮肉なことに、2018年のザッカーバーグ氏の「新年の抱負」は、まるでその後の苦難の日々を予測するかのような内容でした。

   The world feels anxious and divided, and Facebook has a lot of work to do ~. My personal challenge for 2018 is to focus on fixing these important issues.

   (不安で満たされ分断された世界で、フェイスブック社はたくさんの課題を抱えている。僕の2018年の個人的な挑戦は、こうした重要課題の解決に専念することだ)

   筆者が勝手に選ぶ「2018年のニュースな英語」大賞は、このザッカーバーグ氏のメッセージにも使われているこのことばです。

   第1位 divided(分断)

   残念ながら、世界中で「分断」の流れが進んでいるなかで、それでも私たちは国境や人種を超えたさまざまな出来事や喜びも共有してきました。

   2018年を締めくくるメッセージとして、国境や人種、世代といったあらゆる「壁」を超えて「感動」を広げている映画「ボヘミアン・ラプソディ」のモデルにもなったQUEENのブライアン・メイ氏のことばをお贈りします。

   2019年は、世界中で「橋」が架かる年にしたいですね。

   I like to build bridges and not walls

   (私は、壁を築くのではなくて橋を架けたい)

(井津川倫子)

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井津川倫子(いつかわりんこ)
津田塾大学卒。日本企業に勤める現役サラリーウーマン。TOEIC(R)L&Rの最高スコア975点。海外駐在員として赴任したロンドンでは、イギリス式の英語学習法を体験。モットーは、「いくつになっても英語は上達できる」。英国BBC放送などの海外メディアから「使える英語」を拾うのが得意。教科書では学べないリアルな英語のおもしろさを伝えている。
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