「ピンバー」からわかること
もっとも、ひと口にローソク足チャートを分析するといっても、一本のローソク足を単独で分析することもあれば、ある程度のまとまった本数からパターンを見つけ出すものもある。
単独で分析する場合に強力なものを挙げると、ピンバーがその好例だ。参考画像のピンバーは、左の下ヒゲが長いピンバーが相場に上昇の勢いが強いことを示していて、右の上ヒゲの長いピンバーが相場に下落の勢いが強いことを示している。
ピンバーとは、ローソク足の始値と終値の差が小さく(ローソク足の太い部分で、「実体」と呼ぶ)、ヒゲと呼ばれる、ローソク足の細長い部分が長いローソク足を指す。このようなローソク足が出現した場合、ヒゲが出た方向とは逆方向、つまり、下ヒゲなら上昇、上ヒゲなら下落の圧力が強まっていることを示唆している。
プライス・アクションの良書としては、外国為替証拠金取引(FX)のデイトレーダーであるボブ・ボルマン氏の著作「5分足スキャルピングトレード」(パンローリング刊)などがある。
ある程度のまとまった本数からパターンを認識する方法としては、「ボックス」と呼ばれるものを見つけるのがその一例だ。
A社の株価は上昇傾向にあったが、何度も1000円付近の水準まで上昇しては、跳ね返されるように売られて下落するということを繰り返しているようなことがある。このとき、1000円の水準を超えてくるようなら、そこから一気に上昇する可能性が高まる。
なぜなら、「ここからもっと上がるだろう」と考えた順張りの投資家による新規の買い注文と、「1000円を超えることはないだろう」と思って空売りしていた逆張りの投資家の損切りによる買い戻し注文とが、ダブルの圧力となって相場を押し上げるからだ。
ボックス型のパターンを見抜き、株式市場でひと財産を築いたことで知られる投資家としてニコラス・ダーバス氏がいる。「私は株で200万ドル儲けた」(パンローリング刊)に、彼の株式市場に参加した少々奇特なきっかけや、初心者にありがちな失敗の数々、そして当時としては巨額の200万ドルを稼ぐまでの実際の売買の記録が記されている。(ブラックスワン)