その71 水道の民営化「こんなものいらない!?」(岩城元)

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海外の「水メジャー」が狙う日本の水道

   新しい水道法では、そんなにも大切な水を供給する水道事業を、自治体に代わって民間企業が運営できるようになる。しかも、ひとつの自治体で水道事業を営めるのはただの1社。つまり「独占企業」である。

   独占企業に任せた結果、世界各国で起こったように、わが国でも水質が悪くなり、料金が高騰することはないだろうか。

   わが政府によると、自治体が目を光らせるのでそんな心配はないそうだが、何しろ独占企業が相手の話である。無茶な料金引き上げでも、自治体側が押し切られてしまうのではないだろうか。

   しかも、わが国の水道民営化に参入しようと、虎視眈々と狙っているのは、水ビジネスで世界一のフランスのヴェオリア社はじめ「水メジャー」と呼ばれる欧米の強大な企業である。何よりも「利益」を大切にしている連中のことだ。うまみがあるからこそ、日本の「水」が欲しいのだろう。

   アメリカ資本のベクテル社に運営を委託した南米ボリビアでは、高騰した水道料金を払えない貧しい住民が井戸を掘ろうとした。すると、ベクテル社は「水源が同じだから」と、井戸の使用料を請求してきた。そんな話が堤未果さんの『日本が売られる』(幻冬舎新書)に載っている。

   どんなに苦しくても、なんとか知恵を絞り、水メジャーに水道事業を任せることだけはやめてほしい。(岩城元)

岩城 元(いわき・はじむ)
岩城 元(いわき・はじむ)
1940年大阪府生まれ。京都大学卒業後、1963年から2000年まで朝日新聞社勤務。主として経済記者。2001年から14年まで中国に滞在。ハルビン理工大学、広西師範大学や、自分でつくった塾で日本語を教える。現在、無職。唯一の肩書は「一般社団法人 健康・長寿国際交流協会 理事」
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