海外の「水メジャー」が狙う日本の水道
新しい水道法では、そんなにも大切な水を供給する水道事業を、自治体に代わって民間企業が運営できるようになる。しかも、ひとつの自治体で水道事業を営めるのはただの1社。つまり「独占企業」である。
独占企業に任せた結果、世界各国で起こったように、わが国でも水質が悪くなり、料金が高騰することはないだろうか。
わが政府によると、自治体が目を光らせるのでそんな心配はないそうだが、何しろ独占企業が相手の話である。無茶な料金引き上げでも、自治体側が押し切られてしまうのではないだろうか。
しかも、わが国の水道民営化に参入しようと、虎視眈々と狙っているのは、水ビジネスで世界一のフランスのヴェオリア社はじめ「水メジャー」と呼ばれる欧米の強大な企業である。何よりも「利益」を大切にしている連中のことだ。うまみがあるからこそ、日本の「水」が欲しいのだろう。
アメリカ資本のベクテル社に運営を委託した南米ボリビアでは、高騰した水道料金を払えない貧しい住民が井戸を掘ろうとした。すると、ベクテル社は「水源が同じだから」と、井戸の使用料を請求してきた。そんな話が堤未果さんの『日本が売られる』(幻冬舎新書)に載っている。
どんなに苦しくても、なんとか知恵を絞り、水メジャーに水道事業を任せることだけはやめてほしい。(岩城元)