2018年12月6日、臨時国会で「水道法」が改正された。
公共部門の水道事業に民営化の道を開くもので、自治体が水道事業の所有権を持ったまま、運営権を民間企業に売却できるようになる。期間は通常20年間以上で、官民連携の「コンセッション方式」と呼ばれている。
「水」は人の命にかかわる
原則、市町村による水道事業はこれまで、安全で安い水を供給することを目的に運営されてきた。一方で、わが国の水道網は1960年代の高度成長期に整備されたものが多いため、すでに耐用年数を超えた水道管が増えて、更新に費用がかかるなど、経営が何かと大変になってきた。
そこで、民間企業の知恵を借りて、水道事業が破たんしないように基盤を強化したいというのが、水道法改正の趣旨だ。しかし、世界的には水道事業の民営化が「水質悪化」や「料金高騰」を招いて次々に失敗し、再び公営化する動きが強まっている。
水道法改正は、これとは逆行する動きなのだ。
地震などの災害が起こり、電気、ガス、水道が止まることがある。どれもが私たちの生活に欠かせないものである。だが、電気やガスはしばらく不通であっても、何とか生活していける。ところが、水がなくては、どうにもならない。すぐに、人の命に関わる。