「抱っこひもを付けた男性の通勤姿が普通になれば」
――投稿者に共感する側は、そもそも昨今の働く女性優遇策は、女性に男と同じ働き方を勧め、古典的な女性の仕事を否定するものだとも批判しています。
川上さん「『男と同じ働き方』や『古典的な女性の仕事』という表現は、そう表現している時点で性別によるイメージの決めつけになっていると思います。いま社会は性別に関係なく、働き方そのものを見直そうとしています。そう考えると、女性に男性と同じ働き方を勧めるということ自体が意味をなさなくなるはずです。
しかしながら、女性に男性と同じ働き方を勧めているように受け取ってしまう人が存在していることを認識するべきだと考えます。政府が行おうとしている女性活躍推進のあり方が十分に伝わっていない、あるいは今の施策では不十分だというメッセージではないでしょうか。
先日、駅で抱っこひもを付けた男性が通勤する姿を見て微笑ましく思いましたが、そんな光景が極めて珍しいという現状に違和感も覚えました。共働き世帯の数は増える一方ですが、女性の家事育児の負担は減っていません。となると、仕事に就いた分だけ単純に女性の負担が増えただけになります。その状況で政府が女性の活躍を推進し続ければ、働く女性の負担は増え続け、働けない女性はより肩身の狭い思いをしてしまうという悪循環が生まれます。社会の働き方や家事負担のあり方が現実的に変わっていかなければ、女性は働いても働かなくても、より窮屈な方向へと押し込められてしまうということだと考えます」
(福田和郎)