「専業主婦であることへの罪悪感があります」
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、女性の働き方に詳しい、主婦に特化した就労支援サービスを展開するビースタイルの調査機関「しゅふJOB総研」の川上敬太郎所長に、この炎上騒ぎの意見を求めた。
――投稿者の意見にはかなり多くの反対意見が寄せられましたが、どんな感想をお持ちですか。
川上敬太郎さん「投稿者の主婦業は主婦業で大変だ、という思いはわかります。一方で『個人の思いを汲む』という側面と、手当などの『公的支援の必要性』という側面とは分けて考えた方がよいと感じました。
投稿者の意見からは、何のために『専業主婦手当』が必要なのかという意図までは十分には読み取れませんが、働く女性だけが優遇されているという『不公平感の解消』を目的としているとしたら、専業主婦であることへの罪悪感や後ろめたさのような気持ちが影響している可能性があるように思います。
私たちは以前、『専業主婦である』ことに罪悪感や後ろめたさがあるかどうかを聞く調査を行ないました。約6割の人が何らかの引け目を感じていることがわかりました。若い人ほど後ろめたさを感じる人が多くなり、30代以下では7割近くの人が罪の意識のようなものを持っていたのです。(注:J-CASTニュース会社ウオッチ 2018年11月18日付「専業主婦」って罪な存在?)
――「専業主婦手当」批判派の大多数は、主婦は3号年金や配偶者控除などで恩恵を受けており、もう十分に優遇されている、それに税金も払っていない。それなのに手当を要求するのは強欲すぎると攻撃しています。こうした主張は正しいのでしょうか。専業主婦側に擁護される要素はありませんか。
川上さん「これらの意見で指摘されている通り、税制・保険を含めてすでに専業主婦への配慮はなされていると思います。しかし、それを十分ととらえるか否かは人それぞれです。主婦業の大変さの感じ方には個人差があるし、各家庭によって事情も異なります。 『専業主婦には何の恩恵もない』という言い分を言葉通り受け取ってしまえば、事実と異なると言わざるを得ませんが、手当を求めることを強欲と決めつけるのは、適切ではないように思います。負担の感じ方が人それぞれだからです。現実として完全な公平は難しいとしても、あらゆる立場の観点に立った上で、より適切なサポートのあり方を検討することは必要です」