SNS上の「何でも相談」や「仮面カフェ」で孤独を吐きだそう
それにしても、逆に年をとるほど「孤独」を感じる人が少なくなるのはどういうわけだろう。よく高齢者の「孤独死」が問題になるではないか――。
劉さんはおもしろい見方を示した。
「若者というと、いつもワイワイしているとか、学校や会社、家庭というつながりがあるので寂しくはないだろうと思われがちです。しかし、じつは相談相手がいなかったり、まだ一人で向き合うことに未熟だったりするので孤独なのだと思います。その点、高齢者ほど人生の経験を積み、無駄に悩まなくなりますから、若者ほど余計な孤独を感じることが少ないのです。よく『孤独死』がいわれますが、それは『一人で死んだ』と定義される死に方であって、生きていた時に本当に孤独であったかどうかは、わかりません。特に60代女性は、介護、育児を終えて、人生を楽しんでいる人がとても多いです」
そういえば最近、高齢者を中心に「孤独」をポジティブに受けとめて勧める本が人気を集めている。下重暁子『極上の孤独』(幻冬舎新書)、斎藤孝『孤独のチカラ』(新潮文庫)、五木寛之『孤独のすすめ』(中公新書)...などだ。そもそも孤独でいる人は、周りに自分を合わせるくらいなら一人でいる方が楽しいという、円熟の境地に達した人間であるという前向きに書かれた本ばかりだ。
しかし、26歳女性がその境地に達するのは何十年も先だろう。
劉さんは、アイデアを提案している。
「最近、一人カラオケや一人焼肉のように、孤独を受けとめるビジネスが徐々に充実してきてはいますが、若い女性の健康と幸福感を向上させるには、きちんと孤独感自体を解消させるサービスが大切です。たとえば、SNS上の気軽な『何でも相談』や、仮面をつけてお互いにツッコミを入れて、寂しさを存分に吐き出させるリアルな『仮面カフェ』などいかがでしょうか。こうしたカフェに、カウンセラーがさりげなく相談に乗ることができれば効果的だと思います」
(福田和郎)