日本人の中でもっとも孤独を感じているのは、どの年代の人だろう――。「それはもちろん、一人暮らしのお年寄りでしょう」と思う人が少なくないだろう。
ところが高齢者ではなく、「26歳の女性」という調査が発表された。研究者に聞くと、意外な理由が......。
高齢者が孤独なんてウソ、若い人ほど悩んでいる
調査をまとめたのは三菱総合研究所研究員の劉瀟瀟(リュウ・ショウショウ)さんだ。機関誌「MRIマンスリーレビュー」の2018年12月号に、「若者 26歳の女性が日本で一番孤独」というタイトルで発表した。
孤独は、世界的に注目される社会問題になっている。英国では孤独がタバコを1日に15本吸うのと同じ健康被害を与え、国家経済に年間約4.9兆円もの損失を与えているという研究があるほどだ。そのため、メイ首相は2018年1月、内閣に孤独問題の担当大臣を置くと発表。長年孤独解消の運動に取り組んできたトレイシー・クラウチ下院議員が初代孤独大臣に任命された。
日本では、「孤独=高齢者」という見方が一般的だが、実際はどうなのだろう。劉さんは、同研究所の「生活者市場予測システム(mif)のデータを使って調べた。これは、生活者のあらゆる価値観から消費・生活までの状況を把握するために、2011年から毎年1回全国の3万人(20~89歳の男女)に、1人2000問のアンケート調査を実施するもの。
質問項目は、「ライフスタイル」(食、飲酒、飲料、ファッション、住、家事・家電、健康、美容、レジャー)から、「教育・学習」「仕事」「家族」「恋愛・結婚」「老後」「情報リテラシー・通信」「エコ」「金融」(銀行、保険、証券等)など19分野に及ぶ。
今回、20~69歳の男女3万人を対象に「孤独を感じる時があるか」をテーマに細かく聞いた。すると、男女とも若い人ほど孤独を感じる度合いが高くなり、年をとるほど低くなることがわかった=図表参照。実際に最も孤独を感じているのは20代で、「とても孤独を感じる」「孤独を感じる」という回答割合が男女ともほかの世代を引き離した。最多の26歳女性では、33.9%に達した。ちなみに60代は男女とも10%以下である。