「崖っぷち」日本の金融政策 「ベア・マーケット」への備えはできているか?(志摩力男)

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2019年、日本経済は少しずつ厳しくなる

   向こう50年、100年を考えるとするならば、民主化しない中国が強大になることは問題なので、米国の政策は正しいと思います。だが、経済的には米国にとっても、そして中国にとっても、厳しいことになります。お互いに相手のマーケットを失うことになります。

   たとえば、中国問題が厳しくなるとボーイング社の株式は売られますが、今後のボーイング社の売り上げの半分以上は対中国と見込まれています。売り上げの半分以上を、もし仮に失うとすれば、ボーイング社の業績に対するインパクトは甚大です。

   それでも、米国経済はなんとかやっていくでしょう。問題は日本です。中国市場へのアクセスが制限された場合、影響は甚大です。

   2019年、日本経済は少しずつ厳しくなって行きます。2020年の東京オリンピックに向けた建設ラッシュが2019年にピークを迎え、10月には消費増税が控えています。スマホの売り上げが頭打ちとなり、半導体の売り上げが鈍っています。

   日本の場合、金融政策がギリギリのところにあり、これ以上は金融緩和も引き締めもできません。どちらに動いても経済に影響を与えます。こうした状態で、海外発の景気減速が日本を襲った場合、対応のしようがなく、日本経済の脆弱性を露呈することになるのではないかと。つまり、「ベア・マーケット」(株価下落など、ネガティブな見方を示しているマーケット)への備えが、必要になるのではないかと思います。

   今後の日本経済は要注意でしょう。(志摩力男)

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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