「青空」の下で輝く「蛍光灯」。列車の駅のホームで、目立つ光景だ。冬のこの季節、晴天の日だと、それこそ抜けるような青空が広がり、陽光がホームに差し込んでいる。それなのに、ホームの天井部分に取り付けられた蛍光灯が、陽光に逆らうように輝いている。
いや、蛍光灯が「目立つ」とか「輝いている」というのは、いささか正確な表現ではない。注意して目を上に向けないと、蛍光灯がついていることさえ見逃してしまうかもしれない。蛍光灯に比べ、日の光が強すぎるからだ。
消せばいいのに......
忠臣蔵の大石内蔵助は赤穂藩の家老という要職を務めていたが、一説によると、周りから「昼行灯(ひるあんどん)」と呼ばれていた。ぼんやりとしていて、いるのかいないのか、分からなかったからだそうだ。
青空の下の蛍光灯もまさに昼行灯である。電気が実にもったいない。消せばいいのに......。
電鉄会社もそれに気づいていないわけではない。関東の私鉄の駅には「列車内 駅構内 節電中 ご理解・ご協力を」といったポスターが貼ってある。JR東日本、東武、西武、小田急、東急など20社以上の共同広告だ。
ところが、これがちゃんと守られているとは言い難い。ただし、僕の目がなんとか届くのはJR東日本と東武、西武の一部ぐらいだ。取材不足の点はお許し願いたい。
その前提で、まず「駅構内」だけど、駅によって、随分と取り組み方が違う。同じ鉄道の同じ路線でも、ある駅ではすべての蛍光灯をつけているのに、ある駅では全部を消している。あるいは、同じ駅構内でも、屋根の部分が多くてやや薄暗そうなところはつけ、ほかは消していたりする。
ただ一般的に言って、ついている蛍光灯のほうが多数派のような気がする。
JR東日本の池袋駅で快晴の日、あるホームの蛍光灯は3本に1本が消されていた。なかなかに凝ったことをやるんだなあ、と思ったのだけど、線路を挟んだ向かいのホームを見ると、すべての蛍光灯がついている。日の光の差し込み具合といった「条件」は、どちらのホームも同じである。