忘年会シーズンがやってきたが、子どもの保育園や学童のお迎えなどがあるママさん社員は参加が難しいのが現状だ。
そこで、「ママさんが主役」とばかりに、開始時間を早めにして、女性限定の「女子会忘年会」を開くことにした会社がある。これなら時短の女性社員も心置きなく楽しめそうだ。
ママさん社員を積極採用する理由は?
この会社は、東京都港区赤坂に本社がある人材紹介業「サイエスト」だ。2013年に設立したばかりの若い会社で、主に海外ビジネスの経験が20~25年と長い定年後のシニア層を、「グローバル顧問」として企業に紹介するビジネスを展開している。現在、登録しているシニアは約5000人を超えるという。
従業員は、2018年11月末現在で36人。登録している「グローバル顧問」を通じて、クライアント企業が海外進出する支援も行なっているため、中国、シンガポール、ベトナムの外国人社員が4人いる。外国人は全員女性だ。彼女たちも含め、女性が非常に多いのが特徴だ。36人中25人(70%)が女性で、そのうち3割がママさん社員だという。
J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じた同社広報室の本谷(ほんや)亜紀さんは、
「ですから、わが社はママさん社員で持っているようなものです。トイレも女子トイレが3つ、男子トイレが1つです。2つあった男子用を1つ女子用に変えました」
と言って、笑った。
それにしてもなぜ、ママさん社員が多いのか。本谷さんはこう説明する。
「代表の塚崎と李が、二人ともママさんたちの能力を非常に高く評価しているからです。ママさんは子どもの送り迎えがあるため、時短勤務の人が多いですが、ダラダラと働いている人は1人もいません。みなさん、限られた時間内で効率的に頑張っています。その働きぶりがほかの社員にもいい影響を与えるため、ママさんを積極採用しているのです。代表は二人ともイクメンで、子どもが小さい時は時短といいますか、早めに退社して送り迎えをしたり、自宅でリモートワークをして子どもの面倒をみたりしていました」
女性限定の「女子会クリスマス忘年会」は2018年12月19日に開く。場所は会社内のフロアだ。スタートは勤務時間帯内の18時。時短で早めに帰る人も参加しやすくした。参加予定者は約20人。「クリスマスらしく、楽しく、オシャレにやります」(本谷さん)と、みんなで飾りつけも制作中だ。
女性参加者全員が3チームに分かれて準備
参加者全員が、ケータリングや飲み物を手配する「ご飯チーム」、BGMや映像を担当する「音楽チーム」、ビンゴゲームやモノマネ、プレゼント交換などを考える「出し物チーム」の3チームに分かれ、和気あいあいと準備を進めている。
「社内には5つの部署があるのですが、各チームとも部署を超えて編成しました。お互いにふだん交流が少ないので、ちょうど他の部署の人とも仲良くなれる絶好のチャンスとなりました」(本谷さん)
当日は、代表が1本約5万円する高級ワインを数本、差し入れする予定だ。いったい、どうして女子限定の忘年会を開くことにしたのか。本谷さんはこう説明する。
「代表のスケジュールが忙しくて、いつも忘年会の日程がギリギリまで決まりませんでした。ママ社員は子どもを預ける必要があるため、日程が突然決まっても参加できません。また、終業後の夜7時スタートだと、夕方5時までの時短社員は空白の時間ができてしまいます。それに2時間の時間制限のある居酒屋などでは、途中で帰らなくてはいけない人には、割高感があります。ママさんが参加しやすいように昼ランチで忘年会を行なう部署もありましたが、やっぱりアルコールを飲めないと、さみしいですからね」
そこで、すべての不満をなくすためにママが主役の「女子会忘年会」となったわけだ。「もともとママ社員で持っている会社なので、男性社員からは一切文句が出ませんでした」(本谷さん)という。もちろん、男性社員も含めた全員参加の忘年会は別に開く。
3人のママ社員の話を聞いた。
町田花奈さん(6歳年長児)「保育園の迎えが夕方6時で、4時半までの時短です。夫も忙しいし、両親とも働いているので迎えを頼みにくく、忘年会にはなかなか出ることができませんでした。今回は早めに日取りが決まり、家族で調整できました。準備グループから力を入れて、思いっきり楽しみます」
井出聡子さん(小3児)「私も学童の迎えが夕方6時なので、4時までの時短です。去年の忘年会は出られなかったので、今年はチームで団結して楽しいものを作りたい。ママさん同士、受験の話や旦那の愚痴をホンネで話せるからうれしいです」
松本美実さん(小6児)「私は子どもが大きいので出やすかったのですが、今年は社長のワインが楽しみですね。カルフォルニア産の高級品だそうです。女子同士で大いに飲みたいです」
何だか今から盛り上がっている。(福田和郎)