「企業分析バトル」の2回戦は、クスリのアオキホールディングス(HD)を選んだ。
そのワケは、所属する投資サークルの仲間による銘柄発表で、「クスリのアオキ」の優れたビジネスモデルと高い成長性を知ったからである。
実際に店舗数は著しく増加しており、株価も上場以来安定して上昇している。今回はそんな「クスリのアオキ」の事業内容と業績を追いながら、解析してみた。
強みは「他がマネできない」店舗づくり
「クスリのアオキ」は、石川県に本社を置く、創業明治2(1869)年の老舗企業。現在は東京証券取引所市場一部に上場しており、時価総額はおよそ2500億円。代表取締役社長は青木宏憲(ひろのり)氏。会長である青木桂生(けいせい)氏の長男で、同社営業本部長、専務などを歴任。2014年に代表取締役社長に就任した。
事業内容はドラッグストアを通した日用品、食品、医薬品の販売と、処方せんの調剤サービス。北陸圏から、関東や東海近畿へと店舗を拡大しており、2018年11月14日に500店舗を達成した。
クスリのアオキは、北陸圏を基盤に高いシェアを誇るドラッグストアを経営している。医薬品や化粧品を中核商品としながらも、消費者の利便性も考慮し、生鮮食品や衣類、小物も取り揃えている=写真参照。
ドラッグストアでこのような生鮮食品を取り扱っている店舗はあまり見ない。ましてやクスリのアオキの店舗では通常のスーパーよりも安い値段で提供しているのである。 なぜ、このようなことができるのか。それは安価な生鮮食品やお菓子、飲み物を買いに来たお客さんに、高価な医薬品や化粧品をついでに買っていってもらおうというビジネスモデルがしっかりと確立されているからである。
安くて良品を求めて店舗に立ち寄ったお客さんに、
「そういえば風邪薬を切らしていた」
「シャンプーの詰め替えがなかった」
といったことを思い出させ、購入してもらうことで利益を確保する。それが他のドラッグストアにはない、クスリのアオキの強みであり、特徴である。
毎年増益、消費増税も追い風になるワケ?
業績は、お手本のような右肩上がり。商品セグメント別の売り上げも、ヘルス&ビューティー、ライフ、調剤のすべてにおいて、毎年増益を続けている。
激しい価格競争や出店競争が行われているドラッグストア業界。もう少し大きくとらえると、小売業界の中で安定した増益を達成し続けているのは、店舗数の拡大が順調に進んでいる証拠であり、株式を購入するにあたって大きなプラス材料であると考えている。
また、企業評価でよく採用されるROE(自己資本利益率)は約22倍、売上高成長率は約17%を記録。指標のうえでも高く評価できる=下図参照。
クスリのアオキの業績に好影響を与えると考えているのが、2019年10月に予定されている消費増税である。増税によって消費者が許容する価格帯が低くなれば、他店よりも安価な生活用品や食料品を取り扱うクスリのアオキへの需要は大きく高まることが予想される。
一方、リスクとして挙げておきたいのは、医薬品の取り扱いなどに対する規制・法律の改正。医薬品は人の健康に直接的な影響を与えるため、薬価改定といった行政からの影響をたびたび受ける。ドラッグストアも例外ではなく、医薬品の取り扱いに関する行政や医薬品業界の動きをこまめにチェックしなければ思わぬマイナス材料が発生する危険性がある。
長期保有に適した銘柄
株価をみると、2018年11月22日終値で8170円。大学生が購入するには少し高いかもしれないが、PER(株価収益率)は約27倍で、競合他社であるツルハホールディングスや薬王堂と比べて、高すぎるというわけではない。
上場以来続いている上昇トレンドに乗り、安定した値動きをする銘柄として長期的に保有するのはよい選択なのではないかと考える。
クスリのアオキは、低価格の食料品を軸に高価格の医薬品や化粧品を販売するという優れたビジネスモデルをもっており、売り上げと店舗数を年々拡大させている。今後のさらなる店舗拡大に、消費増税による消費者の低価格志向が高まりといったプラス材料が組み合わされば、企業価値の高まりから株価はさらに上昇すると考える。株価は多少値が張るが、高い成長率に裏付けされた安定した銘柄として保有に値すると考えている。
【株式取引ルール】
・月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
・投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
・1年間のトータルで損益を競います。