社長の懐は気になって当たり前 だから、いい会社は誤魔化さずに報酬を開示する(大関暁夫)

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「公平な人事」は「公平な報酬配分」と同義

   「公平な人事」という言葉をよく耳にしますが、その意味は「公平な報酬配分」と同義であると言っていいでしょう。この部分で不公平感を感じる社員が多くなれば、他社への転職者が増えて定着率は下がって会社には沈滞ムードが漂うことになるのです。

   さらなる問題は、社長の報酬です。社長の報酬は一般的に給与体系とは別のところで決められていますから、自ら開示しない限りまったくのブラックボックスなわけです。

   しかし前述のとおり、他人の報酬に社員は皆関心があり、かつそれが自社のトップであれば最大の関心をもって「一体いくら貰っているのか知りたい」という気持ちになるのは、当然のことなのです。

   先のサービス店の店長がしたことは、裏から情報をとったのだとすれば、褒められたものではないかもしれませんが、行動そのものは納得ではあるわけなのです。

   重鎮経営者Aさんが、先の話の結びにこんなことを言っていました。

「社長が自分はいくら貰っているのか、その報酬額を正直に言えないというのは、どこかで『自分は貰い過ぎている』というやましい気持ちを感じているのでしょう。社長が自分の報酬額を社員に対して明らかにできないほど貰い過ぎているなら、社員たちのことを二の次にしているという意味で会社にとってマイナスでしかありません。経営者が常に自戒の念をしっかりと持って会社経営にあたるためにも、社長自身の誤魔化しのない報酬の開示は必要です。いい会社は正直者のいい経営者によってしかつくられませんよ」

   連日報道が続くゴーン氏関連のニュースを読み進める中で、経営者にとってはズシリと重たい重鎮経営者の言葉を思い出しました。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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