SDGsでは、17の目標を2030年までにすべて達成することを目指します。ただし、達成の過程においては、国によって「目標●」と「目標▲」は早く達成できそうだが、「目標×」と「目標☆」は時間がかかりそう、といったばらつきが生じることが予想されます。
国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(Sustainable Development Solutions Network:SDSN)とドイツのベルテルスマン財団は、国ごとの17の目標に対する達成度を数値化し、ランキングを作成しています。
日本が評価されている項目
2018年7月に公表されたレポートによれば、SDGsの達成に最も近い国はスウェーデン、次いでデンマーク、フィンランドと、北欧諸国が並んでいます=図表1参照。
日本の達成度は156カ国中15位です。それぞれの目標に対する評価をみると、相対的に高い評価となっているのは、
「目標1:貧困をなくそう」
「目標3:すべての人に健康と福祉を」
「目標4:質の高い教育をみんなに」
「目標6:安全な水とトイレを世界中に」
「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
「目標8:働きがいも 経済成長も」
「目標13:気候変動に具体的な対策を」
「目標16:平和と公正をすべての人に」
です。
評価されていない目標もある
一方、低い評価となっているのは、
「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」
「目標12:つくる責任 つかう責任」
「目標14:海の豊かさを守ろう」
「目標15:陸の豊かさも守ろう」
「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」です=図表2参照。
評価が低い要因としては、たとえば、目標5であれば女性国会議員の数や男女の賃金格差、目標12では電気電子機器廃棄物(E-waste)の量、目標14では漁業活動の持続可能性、目標15では種の絶滅リスクなどに対して厳しい評価が付けられていることが挙げられます。
それぞれの目標に対する評価は、いくつかの参考となる指標をもとに行われており、目標の下に設けられている169のターゲット(達成したい具体的な成果)すべての観点から評価が行われているわけではありません。
そのため、たとえば日本の取り組みにかかわらず、参考指標が新たに追加されたり、変更されたりすれば、目標に対する評価・ランキングが変わってしまうこともあります。
とはいえ、現時点で他国と比較して、日本がどういった評価になっているのかを知ることができる、重要な評価・ランキングであることは確かでしょう。評価が低い目標に対しては、特にしっかり取り組んでいくことが求められます。
また、正しく評価されるためには、評価に必要なデータの整備およびその情報開示を行っていくことも重要です。
「誰一人取り残さない」がSDGsのキーワードですが、そもそも貧困の状態にある人がどれだけいるのか正確に捕捉できなければ、いくら施策を講じたところで、SDGsが達成に向かっているのか測ることはできません。国連もデータ整備の重要性を認識し、各国にデータの整備を求めています。(大和総研 金融調査部・主任研究員 太田珠美)