「ゴーンショック」は対岸の火事か? 社員のモラルダウンで会社が傾く怖さ(大関暁夫)

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オーナー経営者とサラリーマン経営者では違う

   まず、サラリーマン経営者の場合。仮に会社運営上のトップであったとしても、基本的に会社は株主の所有物(共同所有を含む)であるからサラリーマンなのです。要するに、雇われ社長。会社経営の責任者を一時的に任されているだけの立場です。

   ゴーン氏も、瀕死の日産自動車をV字回復させた恩人であったとしても、オーナーではありませんから、会社のものは他人様のもの。報道されているような会社の私物化容疑が事実であるのなら、逮捕は当然の成り行きです。早晩、トップの座を追われることになるでしょう。

   一方、オーナー経営者は、基本的に健全な会社経営を行う立場から、公私混同は好ましくないものの、実質所有者たる株主でもある以上は、基本的に会社は自身の所有物であるので、仮に私的流用があっても被害者と加害者が同一ということから告訴、逮捕はありません。

   ただし、銀行などの債権者が返済原資の確保をはかる意味で告訴するというケースは稀にありますが......。むしろ注意すべきは、税務当局から問題指摘をもらい私的流用が社長の個人所得として認定されれば追徴課税されるということ。問題になるのは、税務面限定かと思います。この点は、サラリーマン社長とは大きく異なる点であると言ってもいいでしょう。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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