アラセブンは年齢に甘えず、仕事で最高の成果を目指せ
――つまり、「70歳だから」と仕事で甘えてはいけないということですね。
「そのとおりです。年齢は関係なく、自分なりに仕事の成果にどう貢献できるかを考えて行動することが大切です。未経験業務なら一日も早く仕事を覚えて戦力になることを目指す。逆に、長く経験している業務であれば、その経験をどう活かせば成果に貢献できるのかを考えて実行する。
『自分が若いころはこうやった』と年下の同僚に言う場合、若いころのやり方がより成果に結びつくのならばよいと思います。しかし、自分が経験したやり方と違うから気に入らない、というのであれば、それは仕事の成果とは関係のない押しつけです。純粋に、成果につながる言動に徹して仕事に向き合えば、そのスタンスはきっと周囲からも歓迎されるでしょう。また仕事仲間として必要とされることで、自らも生き生きと働けるようになっていくと考えます」
――なるほど。あくまで成果を上げられるかどうかに徹するわけですね。職場の若い同僚は70歳労働者にどう接したらよいでしょうか。
「大きくは2つ。1つは、戦力としてしっかり成果を求めること。もう1つは、人生の先輩に対して人としての敬意を払うことだと思います。年齢に関係なく仕事仲間に成果を求めることは当然のことです。逆に、シニアだからと遠慮して成果を求めないとしたら、それはその人の能力を軽視し戦力として認めていないわけで、そんな失礼な話はありません。
一方で、仕事上はシニア層が後輩となる場合にも、人生では先輩。人として軽んじる言動をしては、心地よく働く環境とはなりえません。自分だって、年下から横柄な態度をとられたら嫌な思いをするはず。仕事場でも人としての尊厳は絶対です。戦力として成果を求めることと、人としての敬意を払うことの2つは、シニア層にかぎらず、女性、障害者、外国人、すべての人と仕事する場合に留意すべきスタンスだと考えています」
――会社側や管理職は70歳労働者を迎えるうえで、どういう点に配慮すべきでしょうか。
「管理職であっても、基本的なスタンスはほかの同僚たちと同じです。ただ、もちろん体力面や健康面で配慮する必要はあります。年齢からくる違いも個性の一つと捉えて、どうすれば最も活躍して成果を発揮してくれるかを軸に、日々のマネジメントを考えることが大切です。個人的な話になりますが、私の母は公文式の指導者をしていますが、76歳で現役です。やる気と能力があれば年齢に関係なく戦力になることは可能だと思っています。採用難の時代、シニア層を上手に戦力化できる会社は、他社よりも確実に有利だと言えるのではないでしょうか」
(福田和郎)