このところ仮想通貨が値下がりしています。コインマーケットキャップ・ドット・コム(coinmarketcap.com)によると、仮想通貨の時価総額は2018年1月のピークから7000億ドル(約78兆9000億円)減少したことになります。
それでも、仮想通貨の値上がりが加速した2017年1月の値段が10万円を少し超える程度であったことを考えると、まだ4~5倍の値上がり益があることになります。
ただ、2017年12月の高値が200万円超であったこと、その時の仮想通貨全体の時価総額が100兆円を超えていたことを考えると、影響は小さくありません。
日本の実体経済への影響はGDPの0.8%
実体経済に及ぼす影響を考えたとき、含み益は大きいですが、含み損の影響はもっと大きい。なぜなら、利益は放置できますが、損失は放置できない場合が多いからです。
それを補填する経済行動が出てきます。利益の出ているものを売って穴埋めする、預金を減らす、消費を抑える等々です。
世界経済全体から見れば80兆円は微々たるものですが、仮想通貨における日本人のシェアを一般的に言われている10%ぐらいとするならば、日本においては8兆円が消えたことになります。
ただ8兆円とはいえ、安い値段で初期の頃から買っている投資家にとって影響はほとんどないでしょう。
問題があるのは、タレントの出川哲朗さんのコマーシャルが流れた頃、つまり仮想通貨を高いところで買ってしまった投資家の方々です。そのインパクトが、8兆円の半分の4兆円ほどとするならば、日本の国内総生産(GDP)の0.8%程度です。決して小さくはない数字です。
では、その損失はどのような影響を日本経済に与えているのでしょうか――。それはおそらく、仮想通貨を取引する個人投資家が同様によく取引していると推測される、個別中小型株に影響を与えているのではないかと思われます。 事実、東証マザーズやJASDAQは今年1月を高値に結構下げており、現時点でマザーズは年初来23%の下落、JASDAQは13.5%下落しています。日経平均株価の下落が5%程度であることを考えると、際立っています。