「社長さんはつらいよ」――。と思いきや、意外や意外、社長は一度やったら病みつきになるほどおもしろい職業らしい。ただし、大企業ではなく、中小企業の社長さんの話だ。
アクサ生命がまとめた「社長さん白書2018」によると、「生まれ変わってもこの会社の社長をする」という人が多いのだ。苦労が多いはずの中小企業でどうしてなのか?
後継者難、人手不足...... 悩みがつきないはずなのに
この「社長さん白書」は、2004年から全国の中小企業経営者を対象に行なっており、2018年で7回目。今回は特に「健康と悩み」と「老後(社長リタイア後)の生活」を中心に調べた。
近年、社員の健康を重要な経営資源ととらえ、積極的に検診を受診させたり、禁煙対策に取り組んだりする「健康経営」が注目されている。「健康経営」という言葉を知っているか、また「健康経営」に取り組んでいるかを聞くと、「今回初めて知った」が42%、「内容は知らないが聞いたことがある」が20%、「内容は知っているが取り組んでいない」が23%、「内容も知っており、取り組んでいる」が13%だった。
まだ定着していないが、2017年と比べると、「今回初めて知った」が13ポイント減り、「取り組んでいる」が6ポイント増えているという。着実に浸透しているようだ。J-CASTニュース会社ウォッチ編集部の取材に応じたアクサ生命の広報担当者は、
「中小企業は、人口減少と高齢化で人手不足が深刻になっています。どうやって従業員をつなぎとめ、雇用を確保するかが喫緊の課題です。社長さん白書からは、ホワイト企業として健康経営に取り組まないと事業継続にも支障をきたすのではないかと気づきはじめていることが調査結果からもみることができます」
と指摘する。
その社長さんたちの悩みで一番大きいのが後継者問題。バトンタッチ(事業継承)時期を決めているかどうかを聞くと、「決めていない」が約半数の48%、「決めている」が52%だった。
「決めていない」理由で一番多いのが「後継者が見つからない」「育っていない」「継がせたくない」「本人の同意が得られない」のいわゆる「後継者難」で、合計で48%中25%あった。「決めていない」人は5年前の2013年より4ポイント増えており、年々後継者難が進んでいる。
また、バトンタッチの時期を決めている人でも、その時の自分の年齢が「60~69歳」より「70~79歳」を選ぶ人の割合が、5年前の2倍になった。それだけ高齢になっても社長業を続ける人が多くなっているというわけだ。
自分の健康問題も悩みのタネ。がんや認知症、心臓病など重い病気にかかって働けなくなった場合、8割以上の81%が「取引先や金融機関からの信用が低下する」「重要な経営決定ができなくなる」「社内が動揺する」など、「経営に深刻な影響がでる」と答えている。おちおち治療に専念できない状態だ。