青学大陸上部の原監督が「お手本」
このG社の社員旅行と似た話として思い当たるのが、以前テレビで特集されていた青山学院大学陸上部の話です。原晋監督は御夫婦で選手と寝食を共にしています。番組はそのことから青山学院大学陸上部の強さの秘密を探ってみようという内容で、箱根駅伝の優勝メンバーOBがインタビューに答えていました。
「グラウンドでは常にどこの大学でも同じ監督と選手ですが、寮に帰ると監督は必ずしもそうではない部分を見せてくれます。奥様が寮母さんなので、たとえば監督と奥様の夫婦の会話をふつうに耳にすることがあったり。そんな何気ない、監督の監督らしからぬ一面を垣間見ることは、選手にとってはものすごく安心感につながって、監督と選手の関係を超えて、いろいろな相談ができる家族のような連帯感がうまれてくるように思います。これは選手同士の間にも当然伝播するものでして、このあたりに強さの秘訣があるんじゃないでしょうか」
監督が時々寮に顔を出して、様子を見に来るのではダメなのです。それでは日常の延長すぎません。一緒に生活しプライベートの一部も共有するからこそ、監督と選手という日常の関係だけではない、非日常を共有できる。それが、一層の連帯間や信頼関係を構築していくということなのでしょう。
もちろん、監督の指導者としての力量もあるのだとは思いますが、箱根駅伝4連覇という、向かうところ敵なしの強さの陰には、そんな非日常の共有が生み出す連帯感に支えられている部分も大きいのではないかと思わされる内容でした。
「優秀な社員が揃っているのだけれど、会社としての一体感に乏しい」
「イエスマンが多くて、社員が本音でぶつかってこない」
などは、経営者からよく聞くお悩みでもあります。G社の例を参考に、社長自らが仕掛ける非日常の共有をしてみるのは一考の価値ありかと思います。ご参考まで。(大関暁夫)