前回に続き宴席の話です。
過日のニュースで、某地方銀行の出来事をご覧になった方はいらっしゃいますか? 取引先との接待の席上、同席した自社の女性行員に対して行われた不適切な行為を守るための行動をしなかったと会長以下役員に対して処分がありました。
会長! 認識が甘いんです
私はこのニュースを見て、私が新入社員だった30年近く前は、接待の席上で女性社員は取引先の傍に座り、お酒のお酌をするのが当たり前の光景でした。
自社の上司は「今夜は綺麗処を連れてきましたよ」と言えば、お客様も「やはり美人にお酌されると美味しいなぁ」なんて返して、時には腕やお尻をボディタッチしてニンマリ。女性社員も宴席だから仕方ないと諦めていたものです。
度が過ぎるお客様がいても上司がその場でお客様を窘めることはなく、お客様と別れてから「ご苦労さん」とご機嫌取りにもう1軒飲み屋に連れて行っておしまい。そんな感じでした。
さて、冒頭の地方銀行の場合、不適切な行為の詳細は明らかにされていませんが、同席していた会長は口頭でやめるよう伝えたものの、制止することができなかったそうです。
また、女性行員は取引先の担当ではなく、場を和ませるために参加を求められたとの情報もあります。これだけハラスメントが問題になっている現在、本気で止めようとしなかった会長と役員は心のどこかで、
「このくらいは許してくれるだろう」
「あとで何か美味しい物でもご馳走しておけばいいや」
といった甘えがあったのではないでしょうか。
女性は「おもてなし係」じゃない
そして今回特筆すべきは、不適切な行為をした取引先ではなく、同席した社内の人間が処分されているという点です。
第三者による調査の結果、担当外の女性行員を同席させたこと自体に、そして加害者でなくてもその場に居合わせ、不適切な行為を制止しなかったことが問題であると判断されたわけです。
この判断は珍しいケースかもしれませんが、今後、宴席の設定の仕方や参加者の振る舞い方に一石を投じたと思います。
男女共同参画社会において、昔のような「女性はおもてなし係」という価値観を改めていく必要がありますね。(篠原あかね)