「専業主夫」という選択があってもいい
世代間でも大きな差が出た。若い人ほど罪悪感が強いが、これは年々共稼ぎ世帯が増え、専業主婦世帯が少数派になっているからだという。独立行政法人労働研究所のデータによると、1980年には、専業主婦が約1100万世帯に対し、共稼ぎは約600万世帯で、専業主婦の方が2倍近く多かった。ところが、両者の数は1997年前後に逆転、2017年には専業主婦は約640万世帯、共稼ぎは1100万世帯と、逆に専業主婦が半分に激減している。
川上さんはこう指摘する。
「つまり、現在の50代が30代以下だった1997年頃は、専業主婦と共稼ぎはほぼ半々で、専業主婦に対する抵抗感が少なかったのです。むしろ、それまでは専業主婦であることが当たり前だった時代が長かったので、主婦が働くことに対する考え方が、今とは全く異なっていました。現在は、共稼ぎが当たり前の時代に移っています。『働かない』専業主婦に対する罪悪感が次第に強まっていると考えられます」
しかし、そもそも専業主婦であることは罪なのだろうか? 川上さんはこう力説した。
「回答の中に、『自分が収入を得ていないことで、買い物を躊躇する』というコメントがあります。しかし、『主婦であることに誇りを感じる』という声もあるように、主婦業そのものに価値があることも事実です。家庭の運営には収入を得ることが欠かせないのと同様、家事をすることも欠かせません。夫が家事に専念する『主夫』という選択もありえます。それぞれの夫婦が互いに収入と家事のバランスを取り合って、共同作業で支え合うことが大事だと思います」
なお、調査は2018年5月23日~6月4日に、インタネットを通じて815人の専業主婦経験者を対象に実施した。
(福田和郎)