待ちに待っていた朗報です! 米メジャーリーグの新人王が発表され、ア・リーグはロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が受賞しました!
日本人では、2001年のイチロー外野手(シアトル・マリナーズ)以来17年ぶり4人目の快挙です。何よりも驚いたのは、「二刀流」での新人王受賞は史上初ということ。世界の「Ohtaniさん」は「元祖二刀流」のベーブ・ルースを超えた、のでしょうか?
「ぶっちぎり」のトップ受賞!
米メジャーリーグで、シーズンで最も活躍した新人選手に選ばれた大谷選手。正式名称は「Rookie of the Year Award」(最優秀新人選手賞)で、まさにルーキーシーズンにしか受賞できない、一生に一度のビッグタイトルです。
「二刀流」での受賞は大谷選手が初めてだと話題になっていますが、「元祖二刀流」のベーブ・ルースは新人王を獲得できませんでした。それもそのはず。新人王が制定されたのは1947年のことで、ベーブ・ルースが引退してから10年以上も経っていました。
大谷選手の新人王受賞で話題になっているのは、「二刀流」だけではありません。
この賞は、全米野球記者協会に所属する記者の投票で選ばれるのですが、大谷選手は他の候補者を圧倒する投票数を獲得して、「ぶっちぎり」の第1位で選ばれたのです。
Ohtani outdistanced Gleyber Torres and Miguel Andujar
(大谷は、グレイバー・トーレスとミゲル・アンドゥハーをはるかに引き離した)
outdistance:(競争相手を)はるかに引き離す
下馬評では、ア・リーグ新人最多タイ記録となる47二塁打をマークしたミゲル・アンドゥハー選手(ニューヨーク・ヤンキース)との一騎打ちと見られていましたが、ふたを開けてみたら大谷選手の圧勝! 現地でも、「二刀流」のインパクトが勝利を招いた、と報じられています。
アンドゥハー選手が所属するヤンキースのGM特別アドバイザーの松井秀喜氏も、投票日前のインタビューで「(新人王受賞は)大谷君じゃないかな」と予言していました。
どうでもいいことですが、現地の野球中継を観ると、解説者は大谷選手を「オオタニサン」と「さん」を付けていますが、他の日本人選手のことは「イチロー」とか「マツイ」とか呼び捨てなんですよね。大谷選手は、すっかり「オオタニサン」がメジャーになりました。
「オオタニサン」は前を向く
とはいえ、大谷選手のメジャーリーグ初年度は、明るい話題ばかりではありませんでした。シーズン途中でひじの故障に見舞われ、治療のために一時期試合も欠場していました。シーズン直後に手術に踏み切り、来季は投手としての出場は見送って打者に専念すると報じられています。
それでも、世界の「オオタニサン」は前を向いています。
新人王受賞後のインタビューでは、来季への抱負を力強く語ってくれました。
I feel like so far, it's going really well
(これまでのところ、術後の状態はとてもいい)
I think I'm right on schedule, maybe a little ahead.
(予定どおりだし、たぶん予定より早いくらいだ)
I'm just trying to work hard and get back, get back stronger for next season.
(僕は一生懸命にトレーニングするだけだ。そして、来季はもっと強くなって戻ってくる)
異次元の活躍で新人王を受賞した大谷選手。ケガに悩まされながらも、来季はもっと強くなると宣言する強い心に、大きな可能性を感じます。
では、「今週のニュースな英語」です。「競争相手を大きく引き離す」という意味の「outdistance」を取り上げます。スポーツの世界だけではなく、ビジネスの場面でも応用できます。私はつい「ぶっちぎり」と訳したくなるのですが、インパクトがある表現ですからプレゼンテーションなどの場面でうまく使いこなしたいですね。
The sales of this product outdistances the other's.
(この商品の売上は、他を大きく引き離している)
We outdistance the competition in this field.
(我が社は、この分野で競争相手を大きく引き離している)
Tom could always outdistance his colleague.
(トムは常に、同僚を大きく引き離している)
ライバルを大きく引き離して「新人王」に選ばれた大谷選手は、私たちの常識をも大きく超えているのかもしれません。「ぶっちぎり」のトップ当選に、大谷選手の凄みを再認識した次第です。(井津川倫子)