優先度合いはそれぞれの立場で異なる
「17の目標」は相互に関連しているとはいえ、SDGsの達成を目指すプロセスにおいては、すべての目標に同時に取り組むことが難しい場面も想定されます。
たとえば、開発途上国では、経済成長のために産業の工業化を目指すことが一般的です。工業化による経済成長が実現すれば、貧困が解消されたり、インフラが整備されたり、SDGsが掲げる、さまざまな目標の達成に貢献するでしょう。
一方、工業化の過程では、温室効果ガスの排出量などが増える傾向にあり、環境関連の目標達成からは遠ざかることが予想されます。
「17の目標」に対して、等しく解決を目指すことができれば、それが理想的ではありますが、現実としては難しい舵取りが求められます。
SDGs達成に取り組む主体が、それぞれの重要課題に応じて、「17の目標」の中から優先順位を付けて取り組むことになります。(大和総研 金融調査部・主任研究員 太田珠美)
※ 2015年の数値。貧困ラインは2015年10月に1日1.25ドルから1日1.90ドルに改定されている(出所:WORLD BANK GROUP 「Regional aggregation using 2011 PPP and $1.9/day poverty line」)。