堅実で倒産リスクが小さく株主配当も見据えながら投資する、日本を代表する大企業の株式は、業績が景気に左右されやすく、それによって株価が決まるという、一つの側面がある。
それに対して、経営の不安定さは否めないものの、大企業の株式よりも、はるかに値上がりする可能性がある、つまり将来大化けして株価が何倍にもなる可能性があるのが小型株だ。
猿が選んだ銘柄でも好成績が上がる?
野村證券のホームページによると、株式の時価総額が小さい小型株は、大型株よりも収益率が相対的に高くなりやすい傾向にある。
理論的に説明できない相場のアノマリー(経験則)の一種であり、小型株は市場での注目度が低いため割安に放置されやすく、今後の利益成長が期待できる株式として収益が得られやすいとされている。
さて、「マルキールの猿」という逸話がある。猿が新聞欄にめがけてダーツを投げ、当たった銘柄で株式ポートフォリオを組んでも、それは主要な株価指数(日経平均株価など)やその株価指数に組み込まれている銘柄で運用する機関投資家と、同等以上の成績を上げることができるというのがそれだ。
適当に選んだ銘柄で、機関投資家を超える成績を上げられるとはにわかに信じがたい話だが、その真偽はさておくとしても、この話には大事なポイントがある。
それは、適当にダーツを投げて当たった銘柄を選ぶということは、トヨタのような大型株も、上場間もない新興企業の株式も、選ばれるチャンスは同じということだ。新興企業株のパフォーマンスは大型株を上回る可能性が高い。つまり、小型株が秘めている効果を示唆しているのだ。
名もない中小企業は、大企業と比べてアナリストによる調査が十分になされず、優良株でも割安なことが多い。投資家がすべきことは、その株式が本格的に上昇してしまう前に、その「お宝株」を見つけることだ。
成長を見込んで投資する、そのタイミングが重要だ!
たとえば、近年ではソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)のミクシィが当てはまる。2014年4月1日に1株1070円だった株価は、その年の7月1日に5990円を付けた。わずか3か月で5倍以上の値上がりだ。
とはいえ、ダーツを投げるように適当に買っても「大化け株」を引き当てられるというものではない。成長を見込んで、歴史の浅い中小企業の株式を買うには、それだけの根拠が必要だし、成長を見込んで投資する、そのタイミングが重要になる。
大企業の株式と比べて、小型株は市場全体が下降ぎみで、日経平均株価が大底をつくよりも早い段階から株価が復活に向かう傾向にある。
売り上げとEPS(一株あたりの収益)の増加、画期的な新製品・新サービス、株価の高値更新などが成長の目安となる。してみると、ファンダメンタルズ分析や直近の価格推移から強いと判断される企業を、最初の段階から選別することが必須なわけだ。
テクニカル分析や出来高分析など、投資のタイミングを見極めるためにも、「チャートの読み方」を磨く必要がある。
小型株に着目した書籍に、「オニールの成長株発掘法」(パンローリング刊)がある。個人的には投資のタイミングのルールが明文化されていて、非常にわかりやすかった。少ない元手で投資でき、短期間で資金を増やせる可能性があるのが、小型株の魅力だ。
(ブラックスワン)