書店で本を買うとき、いつも「要りません」を二度、言わないといけないのが、なんとも面倒くさい。でも、言わなきゃならない。
店員「カバーをおつけしますか」
僕「要りません」
店員「手提げ用の袋は......」
僕「要りません」
なんとも、不毛である。
本にはもともと立派なカバーがついているのに......
書店のレジでは、この順序で尋ねられることが多い。こちらの意向は何も聞かないで、勝手に本をポリ袋かビニール袋に入れてしまう店もある。
普通はカバーをつけない雑誌でも、袋には入ってくる。街の大きな書店だけではなく、駅の構内にある小さな書店でも、カバーと袋はついてくる。
だが、僕は書店のカバーと袋は、両方とももらわないことにしている。
だって、まずはカバーだけど、本にはそもそも立派なカバーがついている。「ジャケット」とも呼ぶそうだが、地味な表紙に比べると、カラフルで宣伝文句が入っていたりして、随分と派手なものもある。紙の質も立派である。カバーが2重になっている本さえある。そのうえ、なんで新しいカバーをつけてもらう必要があるのだろうか。
もちろん、「カバーをつけてください」と言う客には、それなりの理由があるだろう。まず、本を汚したくない。次には電車の中で、自分が読んでいる本を他人に知られたくない。たとえば『髪がどんどん生えてくる』なんて本を、やや頭頂が寂しくなった人は堂々とは読みにくい。エロ本の類いも同じだろう。
でも、それほどカバーが必要なら、自分で適当な紙を探してきてつけたらどうだろうか。僕はいつもそうしている。なのに、本を買うたびにレジでカバーをつけさせるなんて、紙のムダ遣い、そして原料となる紙パルプの浪費である。