11月になると、世間は一気に年末モードになりますね。
すでに忘年会の予定がいくつも入っている方もいるでしょう。宴会大好き! の私は、毎年11月から肝臓が戦闘態勢に入ります。今シーズンも無事に戦えますように......。
上司の誘いにガマンして付き合っていた部下
さて、今回は宴会で聞いたある女性管理職のお話です。
彼女いわく、それはもう10年以上前のことですが、当時の私は仕事が終わると当り前のように部下を飲みに誘っていました。
「21時頃から『軽く一杯だけ行こう』と誘い、そして決して『軽く一杯』で終わることはなく『腹いっぱい』飲んだあげく、終電を逃してタクシーで帰宅。タクシーで帰るのが面倒なときは、会社近くのホテルに泊まってそのまま出勤。時には終電を逃した部下たちの分のホテル代も出してあげるという、今では考えられないようなことをしていました」
そんなある日、いつもどおり部下を誘うと「〇〇さんと飲むと終電で帰れなくなるから嫌です」とハッキリ言われた、といいます。その部下は、他の同僚が彼女と飲みに行くので、自分だけ行かないと職場で浮くと思い、ガマンしながら付き合っていたとのことでした。
上司である彼女はというと、
「部下と飲みに行くのはコミュニケーションを取るために必要不可欠」
「特定の部下だけ声をかければ、以外の部下からえこひいきしていると思われる」
「お金は私が払っているのだから部下達に金銭的負担をかけていない」
と、誤った認識をしていたようです。
ワタシ、面倒くさい上司でした!
部下に言われるまで彼女は、「部下を飲みに誘う私はいい上司」と自己満足している、面倒くさい上司だったようです。
当時は今ほどパワハラ、アルハラ(アルコールハラスメント)と厳しく言われない時代でしたから、問題にならなかったものの、今でしたらその言動はアウトでしょう。相当な覚悟で言ったであろう部下には、今でも感謝しているといいます。
彼女はそれ以降、自分から飲みに誘うことを辞めました。忘年会や歓送迎会など部署として開催するものは任意、そして参加しない人の悪口などは全員厳禁。誘うことはしないけど、飲みたい時はいつでも声をかけてくださいと宣言しました。
すると、一人の部下が「これから行きませんか?」と声をかけてくれて、それを聞いた他の部下も「私もたまには行こうかな」と自主的に人数が増え、以前よりも楽しく飲めるようになったそうです。
もちろん、終電を逃すこともなく財布に優しくもなりました。「その中にはあの部下もいたんですよ」と、ハイボールのジョッキを豪快に空けながら話してくれました。
若手社員研修をしていると、
「上司に飲み屋へ連れまわされて迷惑」
「奢ってくれるのはありがたいけど、その分、説教を聞かされるのが苦痛」
など、上司とのお酒に関する不満をよく聞きます。
のん兵衛は何かと理由をつけて飲みたがるものですが、部下を誘うときは要注意。話を聞きながら私もひょっとして...... と心配になりました。
もちろん彼女とは腹いっぱい飲みましたが、お互いに「終電は大事だね」と、お店を後にしました。
(篠原あかね)