ワタシ、面倒くさい上司でした!
部下に言われるまで彼女は、「部下を飲みに誘う私はいい上司」と自己満足している、面倒くさい上司だったようです。
当時は今ほどパワハラ、アルハラ(アルコールハラスメント)と厳しく言われない時代でしたから、問題にならなかったものの、今でしたらその言動はアウトでしょう。相当な覚悟で言ったであろう部下には、今でも感謝しているといいます。
彼女はそれ以降、自分から飲みに誘うことを辞めました。忘年会や歓送迎会など部署として開催するものは任意、そして参加しない人の悪口などは全員厳禁。誘うことはしないけど、飲みたい時はいつでも声をかけてくださいと宣言しました。
すると、一人の部下が「これから行きませんか?」と声をかけてくれて、それを聞いた他の部下も「私もたまには行こうかな」と自主的に人数が増え、以前よりも楽しく飲めるようになったそうです。
もちろん、終電を逃すこともなく財布に優しくもなりました。「その中にはあの部下もいたんですよ」と、ハイボールのジョッキを豪快に空けながら話してくれました。
若手社員研修をしていると、
「上司に飲み屋へ連れまわされて迷惑」
「奢ってくれるのはありがたいけど、その分、説教を聞かされるのが苦痛」
など、上司とのお酒に関する不満をよく聞きます。
のん兵衛は何かと理由をつけて飲みたがるものですが、部下を誘うときは要注意。話を聞きながら私もひょっとして...... と心配になりました。
もちろん彼女とは腹いっぱい飲みましたが、お互いに「終電は大事だね」と、お店を後にしました。
(篠原あかね)