「移民」受け入れ拡大だが、「社内失業者」対策で人手不足は解消できる!(城繁幸)

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勃発! 仕事しているフリする日本人VSキツイ作業の外国人労働者

   仮に現状のまま実質的な移民受け入れに舵を切ったとすれば、日本国内には「仕事しているふりが許される職場」と、そうでない職場が併存することになる。むろん外国人労働者が送り込まれるのは後者だ。

   たとえば、バックオフィスで仕事しているフリをする日本人が何人もいる一方、第一線の現場でキツイ作業を外国人がやらされる会社があったとして、彼ら外国人労働者はどう思うだろうか――。

   彼らは仕事しているフリなんてできっこないし、資格更新の可否によっては5年や10年でこの国から追い出される不安定な身分でもある。そういうダブルスタンダードに納得してくれるのだろうか。

   「なぜ自分たちとあの人たちは扱いが違うのか」という疑問に対して、氷河期世代の日本人の非正規雇用労働者などは「生まれた時代が悪かったから」とか「努力しなかった本人の自己責任」とか、適当に社会がお茶を濁して、なかったことにしつつある。

   でも、彼ら外国人にそんな適当な言い訳が通用するだろうか。「人種が違うからだ」「いや、宗教が理由だ」という風にナイーブな部分に結び付けられてしまうと、後々非常に問題化するだろう。筆者はそれをとても危惧している。

   解雇規制緩和による労働市場の流動化には、従来から反対する日本人も大勢いた。だが、

「社内失業者を後生大事に抱え込んだまま、人手不足だからという理由で移民を受け入れるべきか」

と問われれば、少なくない数の人が流動化のメリットを理解してくれるのではないだろうか。

   日本は今、重要な節目にさしかかっているというのが筆者の見方だ。(城繁幸)

人事コンサルティング「Joe's Labo」代表。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種経済誌やメディアで発信し続けている。06年に出版した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は2、30代ビジネスパーソンの強い支持を受け、40万部を超えるベストセラーに。08年発売の続編『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』も15万部を越えるヒット。ブログ:Joe's Labo
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