有望なリサイクル市場
高度経済成長期に建てられた高層ビルや工場・倉庫は年々老朽化。下のグラフはその年に国内で使われた建設投資額の推移を表しており、赤い棒グラフは左から築50年、40年、30年、20年の境界を示している。
解体対象となる建築物が今後、右肩上がりに増えていくことはこのグラフからはっきりと読み取ることができ、これが解体市場の将来性を示している。
リサイクルに対する需要の高まりも、今後増していくことは言うまでもないだろう。日本は金属資源のほとんどを輸入に依存している。パソコンやスマホに使われている大量の貴金属を回収、再利用して循環させることは、日本とって重要な課題といえる。
また最近は、「脱プラスチック」の動きも高まる。欧州を発端として、スターバックスやマクドナルドといった有名飲食チェーンがプラスチック製ストローや容器の廃止に積極的な動きを見せている。プラスチックにかかわらず、ゴミの排出やリサイクルに関心が集まることはイボキンにとって追い風だ。
リスクは3点。一つは高度技術者の養成。大型工事を元受けで受注するためには、一つの現場に最低一人の国家資格を持つ管理技術者が必要となる。イボキンには現在8人の管理技術者が在籍しているが、大型案件を同時に進行させるにはさらなる人員拡充が必要。
二つ目は増資の有無。上場したばかりのイボキンは、株式の多くを自社や経営陣、従業員持株会が所有している。その株主構成は、経営者や従業員のモチベーションを高め、また株価の動きを安定化させる効果が期待できる一方で、株式の自社保有割合が過半数を割らない程度に増資する可能性が考えられる。増資すれば、株式の価値が薄まり、株価の下落要因となる。
三つ目は、事故リスク。イボキンは上場直前の7月28日に本社敷地内で火災を起こしている。人的被害はなく営業に大きな影響はなかったようだが、今後、作業中の人身事故や大規模な器物損壊などが発生すれば企業の管理責任が問われ、信頼が損なわれることになりかねない。
株価を確認すると、上場後に下落してからは持ち合いの状態が続いていたが、その後は上昇トレンドに転換。現在は2300円程度に付けている。PER(株価収益率)は約14倍であり、まだ割安と判断できそう。
イボキンは引き続き安定した成長が見込まれ、需要はさらに増していくことと想定されるものの、とにかく現状は株式市場そのものが落ち着かない。当面は、3000円台を目標としながら、購入できるタイミングを見計らっていこうと思う。
【株式取引ルール】
・月200万円を上限に最低1銘柄(企業)を選ぶ、バーチャル投資です。
・投資対象は、新興市場を含む上場企業の現物取引です。
・1年間のトータルで損益を競います。