カブ大学対抗戦の初戦に、ジャスダック市場に上場する「イボキン」を選んだ。
ボトムアップアプローチで攻める
銘柄を探す際に二つの方法をよく用いる。一つはトップダウンアプローチ。市場の勢いや話題性をもとに銘柄を探す方法で、最近だとAIを活用した自動運転やIPS細胞を活用した再生医療などといった話題が多く見受けられる。
もう一つは、ボトムアップアプローチ。ROE(自己資本利益率)や売上高成長率といった指標をもとに銘柄を絞り込んでいく方法だ。
今回用いたのはボトムアップアプローチ。
(1) ROE10%以上
(2) 売上高成長率10%以上
(3) 時価総額100億円以下
の3つの項目で絞り込んだ。
ROEは株主資本をどれだけ効率よく使用し利益を上げたかを測る指標の一つ。10%以上というのは企業を篩(ふるい)にかけるうえで、多少厳しい数値ではあるが、ROEが強く意識されるようになった昨今においては企業にクリアしておいてほしい水準であると考えた。
売上高成長率は、企業の売り上げがどれだけ成長しているのかをみる指標。売り上げが伴っていなければ、当然その会社に将来性はない。カブ大学対抗戦は1年間の連載なので、現在も売り上げを伸ばしており、かつ今後も伸びが期待できそうな銘柄を選定したいと思い、この指標を用いた。
さて、時価総額を100億円以下に設定すると、大企業から順に上場企業のおよそ3分の2が除外される。ターゲットを中小型株に絞ることで、機関投資家の目が届きにくい銘柄かつ、今後の成長が見込めそうな銘柄が探しやすくなる。企業規模が小さい分、企業の全体像がつかみやすいため、個人投資家でも投資しやすいこともある。
というわけで、この3つを用いてスクリーニングをかけたところ9件がヒット。その中から興味のわいた銘柄をピックアップした。それが「イボキン」である。
イボキンは1984(昭和59)年創業の解体・リサイクル企業。2018年8月にジャスダック・スタンダード市場に上場したばかりだ。近畿、中国・四国地方を中心に事業展開しており、東京にも支社を一つ持っている、地域型の中小企業といった印象だ。
事業内容は解体事業、環境事業、金属事業の3事業に分かれている。
建築物の解体や都市鉱山から出た資源を、運搬・中間処理し、リサイクルもしくは埋め立てるという工程を一括して自社で行うこの形態を、イボキンは「ワンストップサービス」と呼び、強みとして押し出している。
業績は堅調に推移しており好印象だ。事業領域を関西圏から関東圏へと広げていく余地が残されており、解体・リサイクルという市場自体の成長が見込まれるため、今後の成長にも期待できる。