国立大は企業文化にフィットする学生が多い?
J-CAST会社ウォッチ編集部記者は、調査を行なったヴォーカーズ働きがい研究所の調査担当者に聞いた。
――1位に北海道大、3位に広島大と意外な結果が出ました。私立で1位の上智大も、早慶を押しのけての上位だから、意外な感じを受けます。
「その3つの大学に関して、理由については正直、わかりません。今後の検証が必要だと思っています」
――北海道大と広島大は、それぞれの地域のトップ大学です。たとえば、札幌なら雪印メグミルク、広島ならマツダなど、地元の大企業に優先的に就職しているからといった理由は考えられませんか。
「地元就職で優遇されていることが理由だとしたら、地元に『働きがいがある企業』が存在することが条件となりますが、広島や北海道の企業にはそのような傾向は見られません。マツダについては広島大卒業生のほんの一部の就職先でしかありません。
あくまで私見ですが、全体として国立大が上位に多い傾向があります。大学の特性より、もともと日本企業の文化や風土にフィットしやすい人材が、国立大を選択する傾向があるからではないでしょうか。つまり、国立大に入るタイプの学生は企業に入っても順応しやすく、会社の環境に満足する傾向があると思います」
――どういうことですか。
「企業は何でもできる総合系の、オールマイティーな人材を求めます。国立大は入学試験で私立大より科目が多く、そもそもオールマイティーなタイプが入学する傾向があります。
さらに、北海道大や広島大のようなローカル国立大が上位にいくのも、その大学を選択したパーソナリティーが、もともと多くを求め過ぎないタイプだから、特に日本企業で働く場合は満足を得やすいのかもしれません。ギラギラしていないというか...」
――なるほど。野望を抱いて上京したりしなかったタイプが地方に残り、企業とのマッチングがうまくいっているのかもしれないということですね。
「今回の調査は、就職ルールの見直しが検討される中で、学生が学業に専念できなくなることが問題視されていますが、そもそも大学の授業は学生の将来の仕事のやりがいにどの程度役立っているかを調べるために行ないました。
学生の就職後の『働きがい実感値』によって、各大学の授業の有益性を測る試みです。従来の入試の偏差値や有名企業への就職率と異なる、もっと実践的で大学の価値が問われる評価指標です。まだ1回目ですが、もっと分析・検証を深めたいと考えています」